【こんな症例も治りますシリーズ 568】 猫ちゃんの『 肥大型心筋症と中等度の腎障害の併発症 』も 適切な診断と治療で治します
↑ 上のイラストは、心臓と腎臓です。
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■ 心臓と腎臓は、複雑で密接な関連を持っています。
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■ 例えば、心臓が悪くなっている時に、腎臓病のために多くの点滴をすると、肺水腫などのトラブルが起きます。
参照サイト:
https://cle.clinic/3xmc1G8
猫 ミックス猫 14歳 オス(去勢手術済)
【 1年前から肥大型心筋症の治療をしている猫ちゃんですが、最近飲水量が増えた 】とのことで来院されました。
◆◆ 血液検査では腎数値の上昇が見られました。
■ BUN(尿素窒素)89.6mg/dl、クレアチニン5.76mg/dl。これらは正常血液の5倍ほど高い数値です。
■ 尿検査ではUPC(尿タンパク・クレアチニン比)は正常値でしたが、尿比重はかなり低い希釈尿でした。
■ さらにエコー検査で腎臓を見ると、全体的に高エコー像でした。
■■ これらから『 慢性腎臓病ステージ3 』と診断されました。
■ 加齢と共に腎臓病になる猫ちゃんは珍しいことではありません。
■ この猫ちゃんも早速点滴治療を開始いたしました。
■ 腎臓の組織の線維化を防ぐ内服薬の他に、当院ではドイツ自然医学療法薬を取り入れていますので、そちらも続けてもらいました。
■ 点滴は通院で皮下点滴をすることになり、1日から2日に1度通っていただきました。
★★★ 心臓病があるので、点滴量を多くすると『 肺と心臓への負担が増える 』ことを留意しながら、注意深く点滴や注射をして腎数値を下げる目的の治療を行いました。
■ BUN、クレアチニンの数値はそれほど変化が見られていないのですが、治療開始とともに食欲が安定してきました。
■ 治療開始して1月半経ちましたが、現在は週に2回程度の皮下点滴とドイツ自然医学療法の注射をしています。
■ 若干腎臓障害性の貧血が進んだため、鉄剤を飲ませてもらうことになりましたが、吐き気もほとんどなく、ご飯もよく食べてくれているので体重もキープできています。
■ 今後は心臓、腎臓ともにチェックしながら、飼い主様と猫ちゃんをサポートしていきたいと思います。
獣医師 新井澄枝
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