【こんな症例も治りますシリーズ 521】 柴犬の重症外耳炎に対して全耳道切除手術を実施して 適切な診断から治療で治します

上の写真は、犬の『慢性増殖性外耳炎』です。
■ 耳介の先端が右上方向にあります。 また鼻は左方向、尾は右方向にあります。
■ ここまで外耳道の入り口が見えない状態になると、早めに外科治療で治してあげた方がワンちゃんの為ですね。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3oWMUWp

 

 

犬 柴犬 9歳 オス(去勢手術済み)

 

 

 

 

【 耳の穴が見えなくなるほど耳道内が腫れてしまった 】ということで来院されました。

 

 

 

◆◆ 他院にて治療を受けていましたが、点耳のみ指示されるだけで良くならないため、当院へ転院されてきました。

 

 

■ 左耳の耳道内は、狭窄して耳鏡を入れることもできませんでした。 白色の分泌液が出ているので中で、ひどい炎症がありそうでした。

 

 

■ 左耳の炎症部分の一部から組織を取り、病理組織検査を行ったところ、『 慢性化膿性耳道炎、耳垢腺の過形成を伴う 』という結果でした。

 

 

■ レントゲンでは外耳道から中耳にかけて石灰化がみられ、耳道狭窄の程度からも全耳道切除が望ましいと判断しました。 

 

 

 

■ 手術合併症には、術中の大量の出血や、耳道周辺の神経損傷の恐れなど、色々とありますが、飼主様も同意の上、手術をご希望されました。

 

 

■ 術前検査のCT検査でも重度の慢性外耳炎、中耳炎の所見でした。

 

 

 

■ 耳道の近くには神経や血管が多く走行しているので、術中出血に対して輸血も準備して臨みました。

 

■ 手術はL字型になっている外耳道を全て切除し、さらに鼓膜の奥(中耳内)の汚れを取り除きました。

 

 

■ これらを病理組織検査に提出したところ、完全に腫瘍は否定されました。

 

 

 

 

■ 術後は顔面神経麻痺なども起こらず、順調に回復しています。

 

■ 『 長期間にわたる激しい痛みや痒みなどの不快感 』から解放されて本当に良かったです。

 

 

 

 

獣医師 新井澄枝

 

 

Page Top