【こんな症例も治りますシリーズ 845】『 喘息だと思った咳の猫ちゃん ― 実は“感染症”でした』という症例も適切な診断と治療でコントロールします

↑上のレントゲン写真は、猫ちゃんの胸部レントゲンです。

◆ レントゲンの診断は、顕著な全身性気管支パターンと非構造性間質パターン、局所的な肺胞浸潤や肺過膨張がみられます。

◆ この他の検査を基に、総合的に診断を行います。

 

 

参照サイト:

https://00m.in/wdnZt

 

猫 ミックス猫 2歳11ヶ月、オス(去勢手術済)

 

 

【 数日前からの咳が出ている 】とのことで来院されました。

 

 

◆◆ 飼い主様からは、『喘息ではないか?とのご相談』がありました。
また、飼育環境として『室内での喫煙あり』という情報もありました。

 

 

■ そこで、基本的な検査からスタートしました。

 

 

 

■■ 検査所見

 

 

■ レントゲン検査

 

 

・ 気管支パターンを確認

 

 

 

■ 血液検査

 

 

・ 軽度の好酸球増加

 

 

これらの所見は、猫の喘息(気管支喘息)を強く示唆します。

 

 

 

 

◆◆ 鑑別診断(この時点で考えるべき疾患)

 

 

この段階で重要なのは「決めつけないこと」です。

 

 

考えるべき主な鑑別は

・ 猫喘息(気管支喘息)

・ 感染性気管支炎(マイコプラズマ、ボルデテラ など)

・ 慢性気管支炎

・ 肺寄生虫(肺虫)

 

見た目が典型でも、複数の疾患が同じ所見を示します。

 

 

 

◆◆ 治療選択の落とし穴

 

 

喘息を疑った場合、
ステロイド治療が第一選択になることが多いですが…
もし感染症だった場合

 

・ 免疫抑制により悪化

・ 症状の長期化

・ 重症化のリスク

 

治療が逆効果になる可能性があります。

 

 

 

■■ 今回の判断

 

当院では、
まず感染症の関与を否定することを優先しました。

 

本来であれば、

・ 気管支肺胞洗浄(BAL)

・ 呼吸器PCR検査

などによる確定診断も検討されますが、

 

 

今回は全身状態が比較的安定であり、飼い主様からの要望で、
臨床的判断として抗生剤トライアルを選択しました。

 

 

 

 

■■ 治療

 

 

・ 抗生剤の投与を開始
(若齢〜中齢猫の呼吸器感染で関与しやすい病原体を想定)

 

 

 

 

■■ 経過

 

 

治療開始後、

・ 咳:速やかに消失

・ 休薬後も:再発なし

この反応から、感染症が関与していた可能性が高いと判断しました。

 

 

 

■ この症例から分かること

 

今回のポイントは、

「典型的でも確定ではない」という点です。

 

 

■ 臨床で重要な考え方

 

・ 所見が揃っていても即断しない

・ 治療によるリスクを常に考える

・ 外してはいけない疾患から除外する

 

 

 

 

■■ まとめ

 

 

・ 猫の咳は鑑別が広い

・ 気管支パターン+好酸球↑ = 喘息“っぽい”が確定ではない

・ ステロイドは有効だが使いどころが重要

・ 必要に応じて、PCRやBALなどの精査も検討する

 

 

 

■ 猫ちゃんの「咳」は見た目以上に奥が深い症状です。

 

 

■ 「それっぽいから」で治療を始めるのではなく、一つ一つリスクを整理することが大切です。

 

 

気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

獣医師 土屋優希哉

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