【こんな症例も治りますシリーズ 834】『 セカンドオピニオン診療: 点眼で治らない眼脂・流涙 ― 睫毛重生が原因だった若齢犬の症例 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、犬の『睫毛重生』です。

◆ 上まぶたから、白目の部分に複数の小さな毛が密着しています。

◆ これが『睫毛重生』です。 通常の『まつ毛は白目に密着しません』。

 

 

参照サイト:

https://00m.in/eiciQ

 

犬 ペキニーズ 4歳 メス(避妊手術済み)

 

 

【 他院での治療でも、眼脂と流涙がなかなか改善しない 】ことを主訴に来院されました。

 

 

◆◆ これまで他院での点眼治療を継続していたものの、明らかな改善が見られないとのことでした。

 

 

■ 来院時の診察では、軽度の羞明が認められましたが、結膜の充血は目立たず、強い炎症所見は認められませんでした。

 

 

■ まず角膜の評価としてフルオレセイン染色検査を実施したところ、**角膜に軽度の上皮障害(浅い傷)**が確認されました。

 

 

■ この時点で、単なる結膜炎やドライアイだけでは説明がつきにくく、機械的刺激の存在を疑いました。

 

 

 

 

◆◆ さらに詳しく評価するため、細隙灯顕微鏡(スリットランプ)を用いて眼瞼および睫毛の状態を拡大視検査で確認しました。

 

 

■ その結果、睫毛重生(distichiasis)が認められ、通常とは異なる位置から硬い毛が角膜方向へ向かって生えている状態が確認されました。

 

 

■ この異常な睫毛が瞬きのたびに角膜を刺激し、

 

流涙

眼脂

角膜損傷

羞明

 

といった症状を引き起こしていたと考えられました。

 

 

 

 

◆◆  治療

 

 

■ 原因となっている睫毛に対して抜毛処置を行いました。

 

■ あわせて角膜保護目的でコンタクトレンズを装着しました。

 

 

 

 

◆◆ 経過

 

 

■ 処置後は速やかに羞明が改善し、眼脂・流涙も明らかに減少しました。
角膜の状態も改善傾向を示しました。

 

 

■ 現在のところ睫毛の再生は認められておらず、良好な状態を維持しています。

 

 

 

 

◆◆ 今後の注意点

 

 

★★★ 睫毛重生は再発することも多く、再び同様の毛が生えてくる場合には

 

・ 毛根の電気分解

・ 冷凍凝固

・ 外科的切除

 

といった根治的治療が必要となる可能性があります。

 

 

 

 

◆◆ まとめ

 

 

■ 本症例は、点眼治療では改善しない眼脂・流涙の原因が、『 睫毛(まつげ)重生による物理的刺激 』であった症例でした。

 

■ 眼科疾患では

 

・ 治療しても改善しない

・ 軽度の角膜障害が持続する

・ 羞明がある

 

 

といった場合、単なる炎症だけでなく、今回のような構造的異常の見落としがないか注意が必要です。

 

 

■ 特に短頭種では睫毛(まつげ)異常が比較的多く認められるため、丁寧な観察が重要になります。

 

 

■ 今後も再発に注意しながら経過観察を行っていきます。

 

 

 

 

獣医師 増田正樹

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