【こんな症例も治りますシリーズ 809】『 セカンドオピニオン診療 : 咳が止まらない原因が“ 気管虚脱 ”ではなかった話 』も適切な診断と治療でコントロールします

↑ 上の写真は、この子の胸部レントゲン画像です。

■ 中央部の白い部分が『心臓』の側面像です。

■ 心臓の右上にある『白い部分』が腫瘍(リンパ腫)です。

 

── CT・細胞診で判明した肺原発性リンパ腫

 

 

犬 トイプードル 7歳 オス(避妊手術済)

 

 

【 1ヶ月ほど前から咳が続き、夜間に特に目立つ 】とのことで当院を受診されました。

 

 

 

 

◆◆ 以前の動物病院では『 気管虚脱かもしれない 』と咳止めを処方されていましたが、改善が見られず、

**『 今の治療が本当に合っているのか不安 』**という理由でセカンドオピニオンとして来院されました。

 

 

 

 

■■■  当院での診察と検査の流れ

 

 

 

◆  身体検査

 

右側肺野に限局した異常な呼吸音を確認しました。

 

気管虚脱だけでは説明できない所見が得られたため、胸部精査を提案しました。

 

 

 

◆  胸部レントゲン検査

 

肺領域に不整形の腫瘤状陰影を確認しました。

 

この段階で、咳の原因が肺内部の病変である可能性が高くなりました。

 

 

 

◆  CT検査(診断のターニングポイント)

 

•  右肺後葉に境界不整な腫瘤を確認しました。

•  気管支が腫瘤によって圧排されており、気道変形が示唆されました。

•  所属リンパ節腫大も確認し、局所進行性病変としての疑いが強化されました。

 

■ 肝臓・脾臓・腎臓など他臓器に明らかな病変は認められず、

 

 遠隔転移を示す所見はありませんでした。

 

 

⇒ 腫瘤の中心が肺であることがより強く支持され、

 治療方針を確定する上で大きな意味を持ちました。

 

 

 

◆  細胞診検査(FNA)

 

腫瘤に対して針生検を行い、採取された細胞を評価したところ、

 

リンパ腫の可能性が高いという結果になりました

 

 

 

■■■  診断名

 

肺原発性リンパ腫

 

犬では比較的まれな腫瘍で、咳の原因として気管虚脱や心疾患ばかりに注目すると見逃されることがあります。

 

 

 

■■■ 今後の治療方針

 

初回の抗がん剤として副作用が少ない薬を投与済みです。

 

現在は自宅にて経過観察中で、副作用や咳の様子の変化を確認しながら、

 

次回来院時に治療計画を再評価する予定です。

 

 

治療の反応次第で、その他の抗がん剤を組み合わせる可能性もあります。

 

 

 

■■■  飼い主さまのコメント

 

『 ずっと気管虚脱だと思い込んでいました。

検査で原因がはっきりして、次にどうすればいいのか分かって安心しました。 』

 

 

 

■■■  一般の飼主様が、この症例から学べること

 

•  咳の原因 = 気管虚脱とは限らない

 

•  画像検査や細胞診検査が診断の決定打になることがある

 

•  長引く症状こそ、早期の精査で治療の方向性が大きく変わることがある

 

 

 

■■■  まとめ

 

◆ セカンドオピニオンは、これまでの治療を否定するためのものではありません。

 

◆ 別の視点を加えることで、見えてくる治療の選択肢が変わることがあります。

 

『 治療しているのに症状が続いている 』

『 本当にこのままで良いのだろうか? 』

そう感じたら、一度ご相談ください。

 

 

 

◆ 私たちは、飼い主さまと動物にとって最善の道を一緒に考えます。

 

 

 

 

 

獣医師 伊藤雅志

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