【こんな症例も治りますシリーズ 767】『 左目が腫れている : 涙嚢炎での腫れ 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、涙嚢炎を示しています。

◆ 黄色い矢印の先端部分は、左目の涙嚢炎です。

 

 

犬、トイプードル、3歳、オス(未去勢手術)

 

 

【 左眼が腫れている 】とのことで来院されました。

 

 

 

◆◆ 視診では左目の下瞼(下眼瞼)部分がやや腫れており、まぶたをめくって確認したところ、鼻涙管付近にシコリ様の腫れが確認されました。

 

 

 

 

■ この部位は涙の排出経路にあたるため、『 涙嚢炎(るいのうえん) 』を第一に疑いました。

 

 

 

 

 

 

◆◆ 涙嚢炎とは?

 

 

■ 涙嚢炎は、涙の通り道である涙嚢や鼻涙管に炎症が起こる病気です。

 

■ 以下のような原因で発症することがあります。

 

1) 草のノギや、ホコリなどの異物混入

 

2) 歯周病などによる細菌感染

 

3) 常在菌の異常増殖

 

4) アレルギーや免疫低下

 

 

■ トイプードルのような小型犬は、顔の構造上、涙の排出経路が狭く詰まりやすいため、涙嚢炎を起こすことが比較的多いとされています。

 

 

 

 

 

◆◆ 治療内容

 

 

■ 当院では、以下の治療を実施しました :

 

 

1) 抗生剤の内服 : 細菌感染を抑えるために、広域スペクトルの抗生剤を処方。

 

 

2) 温庵療法(おんあんりょうほう): 目元を温めることで血流を促進し、炎症物質や膿の排出を助ける治療法です。 1日2~3回、清潔なタオルを40度程度に温め、まぶたに5~10分ほど当てていただきました。

 

 

 

 

 

◆◆ 経過

 

 

■ 2週間後には腫れは大幅に軽減し、目元もすっきりとした印象になりました。

 

 

■ 1ヶ月後の再診では、ほとんど腫れが分からない状態にまで回復しました。

 

 

■ 今回は手術や涙管洗浄を行わず、内科的な管理で良好な経過を得ることができました。

 

 

 

 

 

◆◆ 飼い主様へのアドバイス

 

 

■ 涙嚢炎は再発の恐れもあるため、以下のケアが重要です:

 

 

1) 顔周りのこまめな清拭

 

2) 歯石・歯周病の予防

 

3) 定期的な健康診断・眼のチェック

 

 

 

 

 

◆◆ まとめ

 

 

◆ 今回のように、軽度の涙嚢炎であれば内科的治療で十分回復が見込めます。

 

 

◆ 目の周囲に腫れや涙やけ、目ヤニが続くなどの症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。

 

 

 

 

 

獣医師 増田正樹

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