【こんな症例も治りますシリーズ 764】『 嘔吐を繰り返すワンちゃんの慢性腎臓病 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上のイラストは、犬の腎臓です。

■ 左は、正常の腎臓です。

■ 右は、変形した慢性腎臓病の腎臓です。

 

 

参照サイト:

https://bit.ly/2FMOO6U

 

◇◇ 慢性腎臓病のワンちゃんに、できることをすべて届けたくて

 

 

 

犬、マルチーズ、12歳、オス(未去勢手術)

 

 

 

【 朝から何度も吐いていて… 】と来院されたワンちゃんです。

 

 

 

 

 

◆◆ そんなふうにして来院したワンちゃん。

慢性の腎臓病(慢性腎臓病)と診断され、他の動物病院で継続治療を受けていた子でした。

 

 

 

 

■ ここ最近はあまりごはんを食べず、水もあまり飲まなくなっていたそうですが、

この日は朝だけで5回も嘔吐があり、飼い主さんは強い不安を感じて来院されました。

 

 

 

 

 

◆◆ 数値ではわからない『今、つらい』というサイン

 

 

■ 血液検査では、腎臓の値は前回と比べて大きな悪化は見られませんでした。

 

 

■ しかし、脱水が進み、血糖もやや低め。

そして何より、表情や動き、体のしぼみ方から、『 このままだとつらい 』という状態が伝わってきました。

 

 

 

 

■ そんな時こそ、必要なのは『 生活の質(QOL) 』を支えるケアです。

 

 

 

 

 

◆◆ 入院して、体にやさしいサポートを

 

 

■ この日は静脈点滴を行うため、短時間の入院を提案しました。

皮下点滴よりもしっかりと水分と電解質を補い、体全体を立て直すサポートになります。

 

 

 

■ さらに今回は、ドイツで発展した自然医療の考え方を参考にしたケアも加えました。

体に負担をかけず、整える・回復を促すようなやさしいアプローチです。

 

 

 

 

 

◆◆ 翌朝、自分からごはんを食べ始めた

 

 

■ 翌朝、入院室でそっと差し出したごはんに、

その子はゆっくりと近づき、少しずつ口に運び始めました。

 

 

 

 

 

■ 量は多くありませんでしたが、“ 自分の意志で食べる ”という行動が見られたこと。

それだけで、私たちには十分すぎるほどの希望に感じられました。

 

 

 

 

 

◆◆ まとめ

 

 

1) 嘔吐や食欲不振は、QOL(生活の質)の低下サインかもしれません。

 

 

2) 数値だけでは見えない“つらさ”に目を向けてあげることが大切です。

 

 

3) 点滴や薬に加えて、やさしく整えるサポートが、QOL向上の鍵になることもあります。

 

 

4) 必要に応じて、自然な力を引き出すようなケアも、選択肢として考えてみてください。

 

 

 

 

 

◆◆  「治す」ではなく「支える」

 

 

 

 

■ 慢性疾患とともに生きるワンちゃんにとって、

完治ではなく『 いまをどう心地よく過ごすか 』がとても大切です。

 

 

 

 

■ 私たちは西洋医学に加えて、ドイツで発展した自然医療の考え方を参考にしたケアも取り入れています。

 

 

 

 

■ それは、体に負担をかけず、“ 元気を取り戻そうとする力 ”にそっと寄り添う方法です。

 

 

 

 

『 もう出来ることはないかも 』と感じたときこそ、

“ やさしく支える医療 ”という選択肢があることを、思い出していただけたら嬉しいです。

 

 

 

 

 

獣医師 伊藤雅志

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