【こんな症例も治りますシリーズ 760】『 高齢の柴犬の口腔内腫瘍もCT検査と手術 』を使って適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、犬の口腔内腫瘍です。

◆ 右が口の先端です。

◆ 左の赤い塊が、口腔内腫瘍です。

 

 

犬 柴犬 14歳 メス(避妊手術済)

 

 

【 トリミング時の身体検査で『口腔内に腫瘤を確認』 】したワンちゃんです。

 

 

 

◆◆ 当院では、トリミングをご利用の際にも簡単な身体検査を行っております。

今回の症例では、その検査時に口腔内に約1.5cmのしこりが確認されました。

 

 

 

■ 痛みや食欲低下などの明らかな症状はありませんでしたが、
『 年齢や位置的にも放置はできない 』と判断し、詳しく検査することになりました。

 

 

■ 慢性腎臓病と、胸腔内腫瘤も発見されました。

 

 

■ 全身の健康チェックを行った結果、慢性腎臓病に加え、胸腔内にも腫瘤があることが判明しました。

 

 

■ 年齢や基礎疾患の状況をふまえ、十分な準備とリスク管理のもと、
CT検査 + 口腔内腫瘤の切除手術 + 胸腔内腫瘤の針生検検査を、全身麻酔下で実施することとなりました。

 

 

 

 

◆◆ CT検査+手術はリスク管理を徹底して実施

 

 

■ 手術の周術期(手術が決まってから、手術の前後を含めた一連の期間)には下記のような慎重な対応を行いました。

 

 

・ 腎臓保護のための十分な点滴管理

・ 腎機能に配慮した麻酔薬の選択と投与調整

・ 手術中の血圧などのバイタルの継続的モニタリング

 

 

■ その結果、手術・麻酔ともに問題なく終了し、術後の覚醒も良好でした。

 

 

 

 

◆◆ 病理検査の結果はどちらも良性

 

■ 口腔内腫瘤:周辺性歯原性線維腫(良性)

⇒ ゆっくり大きくなるタイプの良性腫瘍。しっかり切除されており、再発の可能性は低いと考えられます。

 

 

 

■ 胸腔内腫瘤:胸腺腫(良性)

⇒ 今後は定期的なモニタリングを行い、経過を観察していきます。

 

 

 

 

◆◆ 現在の様子と今後のフォロー

 

■ 術後の経過は良好で、食欲・元気も普段通りに回復。 ご家族も安心され、笑顔でご報告いただきました。

 

 

 

 

◆◆ 今後は以下のようなフォローを予定しています

 

・ 定期的な身体検査・口腔内チェック

・ 腎機能の継続的モニタリング

 

 

 

 

◆◆ 最後に

 

■ 高齢で慢性疾患を抱える子でも、適切なリスク評価と術前管理を行えば、安全に検査や治療を受けることが可能です。

 

「もう歳だから…」「腎臓が悪いから麻酔は無理」と諦めずに、その子に合った最善の方法を一緒に考えていくことが何より大切です。

 

 

 

◆◆ もし、お口のしこりや気になる症状が見つかった際は、どうぞお気軽にご相談ください。

 

 

 

獣医師 土屋 優希哉

 

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