【お困りではありませんか? アドバイスしますシリーズ 37】 『 高齢犬の歯石除去手術 ~ 14歳ミックス犬のケース~ 』について を紹介します

↑ 上の写真は、高齢犬の歯石除去の前後写真です。

■ 左は、歯石除去の除石前です。 相当、悪化した歯石がついています。

■ 右は、除石後です。 歯周病治療もすでに終えて綺麗です。

 

■■■ 『 高齢動物の歯石除去は 大丈夫なの? 』 編

 

 

■ 14歳のミックス犬(去勢済み)に実施した歯石除去治療に際して、『 本当に麻酔や手術は大丈夫なんですか? 』、
など、飼主様から昔からよくいただく質問です。

 

 

 

◆◆ どのように、このような皆さんから考えるとリスクが高そうな子に、『 麻酔と手術が大丈夫と判断するのか? 』を紹介致しましょう。

 

 

 

 

■■ 主訴は、『 歯石除去を希望 』して来院

 

 

■ 飼主様より『 お口のニオイが気になる 』、『 歯石を取りたい 』とのご相談で来院されました。 診察の結果、確かに中~重度の歯石が認められ、歯肉の炎症も見られました。

 

 

■ しかし、事前の健康チェックで以下の『 基礎疾患 』が判明しました。

 

 

• 僧帽弁閉鎖不全症(心臓病)

 

• 甲状腺機能低下症(内分泌病)

 

 

 

■ どちらも全身麻酔には注意が必要な疾患です。

 

 

 

■■  治療計画は、麻酔リスクを考慮した慎重な準備

 

 

■ まずは心臓病と甲状腺機能の内科的治療を開始しました。 しばらくの間、基礎疾患の改善を待ち、心臓の負担を軽減したことを確認した上で、麻酔に臨むこととしました。

 

 

■ 治療の甲斐あって、心臓の状態と甲状腺ホルモン値は安定し、麻酔の許容範囲になったことを確認しました。

 

 

 

 

■■ 当日の処置内容

 

 

• 全身麻酔下 + 心臓保護治療点滴

• 歯科用CT撮影にて、抜歯が必要な歯を精査

• 歯石除去施術

• 2本の抜歯を実施

 

 

 

■ 麻酔中は常に以下の点に注意し、慎重に管理しました。

 

 

• 血圧のモニタリング

• 酸素分圧・呼吸管理

• 心拍数の変動

 

 

 

■ 処置は予定通り無事に終了し、スムーズに覚醒しました。

 

 

 

■■  処置後の経過

 

 

■ 術後の体調は安定しており、食欲や活動性も良好。 現在はご自宅で『 毎日の歯磨き 』を頑張っていただいています。

 

 

■ 『 高齢だから麻酔が心配… 』という声はよく聞きますが、適切な診断と準備があれば、安全に処置が可能なケースも多くあります。

 

 

 

◆◆◆  まとめ

 

 

■ 歯石の蓄積は、口臭や歯周病だけでなく、心臓や腎臓など全身の健康にも影響する可能性があります。

 

 

■ 特に高齢のワンちゃんは、状態を見極めた上での事前準備と処置が重要です。

 

 

■ 『 うちの子も歯が気になるかも… 』という方は、お気軽にご相談ください。

 

 

 

獣医師 増田正樹

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