【こんな症例も治りますシリーズ 756】『 見つからない精巣!? ワンちゃんの潜在精巣 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、ワンちゃんの潜在精巣のCT画像です。

◆ 上段の写真は、腹部のCT横断像です。 通常の腹腔内潜在精巣の場合、膀胱の横にあるのですが、このワンちゃんは膀胱の前方に右の精巣がありました。

◆ 下段の写真は、腹部のCT水平像です。 黄色矢印が右精巣、赤色矢印が左精巣です。

 

犬 ミニチュアダックスフンド 9カ月齢 オス(未 去勢手術)

 

 

【 去勢手術をしたい 】とのことで、来院されました。

 

 

 

◆◆ 今回は、身体検査をしたところ、次のような事が分かりました。

 

 

 【精巣が見つからない!?】 今回ご来院いただいたのは、9ヶ月齢の若い男の子のワンちゃん。 去勢手術を希望されて来院されたのですが、診察時に触診では左右ともに精巣が陰嚢内に確認できませんでした。

 

 

■ この状態は『 潜在精巣(停留精巣/陰睾) 』 と呼ばれるもので、将来的に腫瘍化するリスクが高いため、早期の手術が推奨されます。

 

 

 

 

 

◆◆ 【レントゲン・エコーで精査】 まずはレントゲンと腹部エコーを行い、精巣の位置を確認。 その結果、右の精巣は腹腔内にあることが確認できました。

 

 

■ しかし、左の精巣は画像では明確に確認できず、位置が特定できません。 このまま開腹手術を行うと、精巣を探す時間が長くなり、ワンちゃんの身体への負担も増してしまいます。

 

 

 

 

◆◆ 【CT検査で位置特定】 そこで、CT検査を実施しました。 すると、左の精巣は腹腔と鼠径部(脚の付け根)の境目、いわゆる“ 鼠径輪 ”付近にあることが判明しました。

 

 

■ この位置は、成熟していない小さい精巣はレントゲンやエコーでは見逃しやすく、CT検査の有用性が改めて証明された症例となりました。

 

 

◆◆ 【スムーズな手術で短時間に終了】 手術当日は、事前に位置が特定できていたおかげで、最小限の切開で精巣を発見・摘出することができました。 手術時間も短縮でき、ワンちゃんの負担も最小限に抑えられました。

 

 

■ 術後も経過は順調で、無事に退院されました。

 

 

 

 

 

◆◆ 【まとめ】 

 

 

•  潜在精巣は放置すると腫瘍化のリスクが高まります

•  通常の検査で見つからない場合は、CT検査が非常に有効

•  精巣の位置が事前にわかることで、安全かつスムーズな手術が可能になります

 

 

 

 

◆ 『 精巣が片方しか見当たらない 』 『 去勢手術をいつすればいいか迷っている 』など、気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

獣医師 増田正樹

 

 

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