【こんな症例も治りますシリーズ 755】『 再発しやすい\猫ちゃんの原因不明の特発性膀胱炎/ 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上のイラストは、特発性膀胱炎の発症メカニズムを示しています。

■ 一番右が『脳』、中央が『脊髄』、左は『膀胱』です。

■ 最初は、脳にストレスが生じて、最終的に膀胱の内側の表層にあるGAGの層が炎症を持ってしまい、膀胱炎が起こります。

■ その膀胱に起こった刺激が、最終的に脳に戻っていき、それがまた脳のストレスになり、悪循環が生じます。

 

参照サイト:

https://00m.in/JDmZK

 

 

猫 ミックス猫 10歳 メス(避妊手術済み)

 

 

【 時々血尿を繰り返す猫ちゃん 】が来院されました。

 

 

 

 

◆◆ 血尿の原因には細菌性膀胱炎、尿路結石などがありますが、原因不明な場合を特発性膀胱炎と言います。

 

 

 

■ この猫ちゃんもレントゲン、エコー検査、尿検査で結石や結晶、細菌も検出されず、膀胱壁の不整構造も見られず腫瘍も否定的でした。

 

 

 

 

★★★ 猫特発性膀胱炎(Feline Idiopathic Cystitis:FIC)は、明確な原因が特定できない膀胱の炎症性疾患で、若齢から中年の猫に多く見られます。

 

 

■ 排尿困難、頻尿、血尿、トイレ以外での排尿などの症状が特徴で、痛みを伴うこともあります。

 

 

■ FICの原因は完全には解明されていませんが、現在ではストレスや環境の変化が関与していると考えられています。 以前は、『人間の女性に起こりやすい間質性膀胱炎』と病理組織学的な所見が同一で、ヒトと同様の治療を猫ちゃんに行なっても治らない病気、とアメリカ獣医泌尿器学会では言われていました。

 

 

■ 尿検査や画像診断でも明確な異常が見つからないことが多く、他の疾患(尿石症、細菌性膀胱炎、腫瘍など)を除外することで診断されます。

 

 

 

 

◆◆ 治療は、症状の緩和と再発予防を目的に行われます。

 

 

■ ストレス管理としては安心できる場所を作ってあげると良いです。 例えばキャットタワーなど高い位置にくつろげる場所を設置するのも良いです。

 

 

■ 水分摂取量の増加も重要です。ウェットフードを与えるのも良いとされています。

 

 

 

■ 当院では、2つの方法で治療に成功しております。

 

 

★ 一つ目は、フードの選択です。 フードは、ストレス軽減効果のある成分を配合した病院処方食をお試しください。 この処方食を継続される事で、再発予防も出来ます。

 

 

★ 二つ目は、サプリメントです。 与える濃度の調整が必要ですが、病院処方のサプリメントで治療が出来ます。

 

 

 

 

■ 再発しやすい病気であるため、飼育環境、フードなどを見直し、猫ちゃんが安心して過ごせる生活を整えることが大切です。

 

 

■ 治りが悪い膀胱炎の際は、セカンドオピニオン診療を当院にご相談ください。

 

 

 

 

獣医師 新井澄枝

Page Top