【こんな症例も治りますシリーズ 749】『 セカンドオピニオン診療: 治りにくい犬の再発性膿皮症 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、犬の甲状腺機能低下症を伴う再発性膿皮症の皮膚です。

◆ 皮膚は乾燥して、フケが出やすい状況であり、皮膚のバリアが崩れているのが分かります。

 

参照サイト:

https://00m.in/wSDTu

 

 

犬 ミニチュアダックスフンド 10歳 オス(去勢手術済み)

 

 

【 背中の痒みがなかなか治らない 】とのことで、セカンドオピニオン診療のために来院されました。

 

 

 

◆◆ 飼主様にお話を伺うと、2~3ヶ月ほど前から背中を気にして、痒みのためか頻繁に掻いたり、地面にこすり付けるので、近院で抗生剤をもらい治療を続けてきました。

 

 

 

■ でも、前医の治療ではなかなか完治せず、再発を繰り返すので、ホームページをみて当院でも診てもらうことにしたとのことでした。

 

 

 

 

 

■■ 当院で身体検査、一連の皮膚検査を実施したところ、背中の痒み、脱毛、皮膚の赤み、かさぶた及び細菌の検出などから『 膿皮症 』と診断されました。

 

 

◆◆ 膿皮症は細菌によって引き起こされますが、再発を繰り返す場合は『 再発性膿皮症 』と言い、その子に基礎疾患があるため皮膚バリア機能が低下していることが原因の一つ考えられます。

 

 

■ そのため膿皮症の再発を防ぐためには、シャンプーや抗生剤などの細菌に対する治療と並行して、基礎疾患の診断と治療をしっかり行うことが重要です。

 

 

 

 

◆◆ 再発性膿皮症の原因となる基礎疾患のトップは、アトピーなどのアレルギー性皮膚炎ですが、このワンちゃんように高齢から膿皮症を繰り返すようになる場合に、まず疑わなければいけない疾患は甲状腺、副腎、生殖腺のホルモンの異常です。

 

 

■ 甲状腺機能低下症では、臨床症状として脱毛、毛質の変化や乾燥肌などがみられ、また膿皮症、脂漏症などの皮膚疾患を併発することもあります。

 

 

■ これらの皮膚併発症は『 甲状腺ホルモン(T4)が低くなると、皮膚のバリア機能が阻害されるため 』と考えられています。

 

 

■ さて、このワンちゃんの場合、これまでの経過と検査結果から再発性膿皮症と診断されたので、院内で血中のT4を測定したところ、その値は正常値よりかなり低い値を示しました。

 

 

■ そこで、これまでの抗生剤による治療に加えT4値を上げるお薬も処方することにしました。

 

 

 

 

◆◆ 数週間後、血中T4を測定するとT4値は正常値の範囲内に戻っていました。

 

 

■ また背中の毛も生え、赤みもカサブタも無くなっていました。

 

 

■ もちろん痒みもないことから、『 もう地面にこすり付けることもしなくなった 』と飼い主様も喜んでおられました。

 

 

■ これはお薬だけでは治り難かった膿皮症も、皮膚のバリア機能が正常に働くようになったためと考えることができます。

 

 

 

 

◆◆ 当院では、皮膚疾患の診断・治療において、局所(皮膚)だけに注目するのではなく、全身状態を考慮した診察・検査をするよう心掛けております。

 

 

■ 気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

獣医師 泉 政明

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