【こんな症例も治りますシリーズ 732】『 犬の楕円形の角膜炎 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、犬の軽症の角膜炎です。

■ 感染などによっても同様な症状になります。

■ 黄緑色の部分は、特殊な眼科用の染色液です。 黒目の部分で黄緑色になっている部分が、角膜炎です。

 

 

参照サイト:

https://00m.in/PMqxn

 

犬 ペキニーズ 4歳 オス(去勢手術済み)

 

 

【 右眼の黒いところに白いものがある 】とのことで来院されました。

 

 

◆◆ 飼い主様からお話を伺ってみると『 昨日、散歩から帰ってきたら、右眼の瞳のところが楕円形に白くなっているのに気がつきました。 本人は全然気にしていなくて、今日も特に涙や目ヤニが出ているわけではないのですが、気になるので診てください 』とのことで来院されました。

 

 

■ 角膜とは、いわゆる『 黒目 』の部分の一番外側(手前)にある無色透明な膜です。

 

★ 角膜は

 

① 光を網膜に届ける

 

② 外界のホコリや細菌などから眼球を保護する

 

などの役割を担っています。

 

 

 

■■ そして、この角膜で炎症が起こっている状態のことを『 角膜炎 』といいます。

 

★ 原因は、

 

① 目の乾燥(ドライアイ)

 

② 感染(細菌、ウイルス)

 

③ 物理的な刺激(さかさまつげ など)

 

④ まぶたの内反

 

⑤ シャンプーなどの刺激

 

⑥ 免疫の異常などがあります。

 

 

★ 軽度な場合は無症状ですが、症状がある場合は、目を眩しそうに閉じたり(羞明)、気にして目を床や前足でこすったりします。

 

 

★ また症状が進むにつれて、涙や眼脂(目ヤニ)が増える、結膜の充血や角膜混濁(角膜が白く濁ること)、まぶたの痙攣(けいれん)、血管新生(角膜表面に血管が伸びてくること)が認められることがあり、ときに角膜潰瘍を生じることがあります。

 

 

 

■■ 検査としては

 

① 視診

 

② 細隙灯検査(スリットランプ)

 

③ フルオレセイン染色(角膜染色)

 

④ シルマーティア試験(涙の量が正常かを測定する検査)

 

などがあります。

 

 

 

■■ 治療として角膜炎になった場合、細菌感染の防止や角膜の保護を目的とした治療薬の点眼をおこないます。

 

★ 重症例では、外科的な処置をおこなうことがあります。

 

 

 

◆◆ さて、このワンちゃんの場合、特に羞明、流涙や眼脂などの症状は見られませんでしたが、一連の眼検査を行ったところ、スリットアンプ及びフルオレセイン染色において、右眼の角膜の表層に小さな傷が見られたことから、『 軽度の角膜炎 』と診断しました。

 

 

■ 恐らく何らかの原因で角膜に傷がついたものと考えられましたので、感染予防と保護の.ため、抗菌剤と角膜保護剤の点眼薬を処方しました。

 

 

■ 2週間後、来院していただいて再検査をしたところ、右眼の傷はすっかり無くなっていました。

 

 

■ ただ、このペキニーズという犬種の場合は、眼が大きくてすこし前方に出ていることから、今回のように眼に傷がつきやすいので、日ごろから注意が必要です。

 

 

■ 気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

 

獣医師 泉 政明

 

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