【こんな症例も治りますシリーズ 730】『 日頃の観察が重要: ウサギの赤い尿 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上のイラストは、ウサギの赤色尿の姿です。

■ 赤色尿は良くあるオシッコの変化です。

■ 心配な時は、写真を撮っておきましょう。 赤色尿が連続する時は、尿も病院にご持参ください。

 

参照サイト:

https://00m.in/iMxoX

 

うさぎ 6歳 メス (未避妊手術)

 

 

【 おしっこが赤い。血尿? 】とのことで来院されました。

 

 

 

◆◆ 飼い主様からお話を伺ってみると『 小さい時から赤いオシッコは時々していたのですが、元気・食欲はあったので、特に気にはしていませんでした。 ただ、ここ1週間くらい前から、赤いオシッコをする回数が多くなったため、一度見てもらおうと連れてきました 』とのことでした。

 

 

■ ウサギで血尿が出る原因としては、

 

1) 膀胱炎や尿結石

 

2) 腎炎などの泌尿器系疾患

 

3) タマネギ中毒など溶血性貧血

 

4) また、子宮腺癌、子宮内膜増殖症、子宮炎(子宮蓄膿症)、流産など生殖器系からの出血が血尿に見える場合もあります。

 

 

 

■ これらは、いずれも、放っておくと死に至る可能性があり、直ぐに治療が必要な病気です。

 

 

■■■ 一方、ウサギは健康でも赤いオシッコをすることがあります。

 

 

■ オシッコが赤くなるのは、牧草などの『 ポルフィリン 』や、緑黄色野菜の『 カロテン 』という食物由来の色素が多く排出されることが原因です。

 

 

 

■ また、薬の影響で赤くなることがあったり、急に寒くなった時に赤いおしっこが出やすくなるともいわれています。

 

 

 

■ したがって、このような赤色尿の場合は、前述の病気の場合とは異なり、赤色尿は一時的なものであり、健康状態に影響を与えることはありません。

 

 

 

■ ただ、両者は、見た目で判断することは難しいため、病気か否かの判断は、尿中の血色素反応を調べる必要があります。

 

 

 

 

◆◆◆ さて、このウサギさんの場合、血液検査では特に問題となる点はなく、レントゲン検査でも、腎臓、尿管及び膀胱内に結石は認められませんでした。

 

 

 

■ また、仰向けにしてお尻を調べてみても、血液が付着している形跡はどこにも見当たりません。

 

 

■ したがって、この時点で、泌尿器系あるいは生殖器系の病気の可能性は低いと考えられましたが、やはり、最終的な判断は尿検査を行い血色素反応の有無を調べる必要があります。

 

 

■ そこで、後日、尿を持って来てもらい検査したところ、血色素反応は陰性でした。

 

 

■■ 実は、このウサギさん、小さい時から、牧草や野菜を主食としているとのことで、今回の赤い尿は、牧草や野菜に含まれる色素が尿中に出てきたとのが原因と考えられました。

 

 

 

◆◆ さて、以上の結果を飼い主様にお伝えしたところ、ほっとして安心しておられました。

 

 

■ ただ、このウサギさんのように、普段から赤いオシッコが見られる子は、本当に病気になった場合、病気の発見が遅くなることが予想されます。

 

 

■ そのため、日頃からオシッコの色や量、また排尿の回数や状態を観察することが大切で、少しでもおかしいと感じたら病院に連れて来て下さい。

 

 

■ その時は、出来たら尿も一緒にお願いします。

 

 

 

 

■■ 気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

獣医師 泉 政明

 

 

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