【こんな症例も治りますシリーズ 729】『 セカンドオピニオン診療: 左後肢の異常 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、矢印の先にある部分の『左後肢がレッグペルテス病』になっているレントゲン写真です。

■ 骨頭の中が虫食い状態になっていたり、関節面が粗造になっている像がレントゲンでは見られます。

 

 

参照サイト:

https://00m.in/qwjem

 

犬 チワワ 11カ月齢 オス(去勢手術済み)

 

 

【 数ヶ月前から左の後ろ足を挙げていることが多くなり、時々痛そうにキャンと鳴く 】とのことで来院されました。

 

 

◆◆ かかりつけの病院でレントゲン検査をしたときは『 異常がない 』と言われたとのことでした。

 

■ 当院でもレントゲン検査を行ったところ、左の大腿骨の骨頭という部分に異常が見られました。

 

■ 骨頭は、骨盤の寛骨臼という部分に靭帯で結合し股関節を形成しています。

 

■ 痛みのため長い間左後肢は使われていなかったようで、太ももの筋肉も細くなっていました。

 

 

 

◆◆ 症状や犬種、レントゲン所見から総合判断して『 レッグペルテス病 』と診断しました。

 

■ レッグペルテス病は小型種の成長期に見られることが多く、骨頭への血流阻害による組織の変性、壊死を起こす病気です。

 

■ このチワワさんは破行(ビッコの歩行)が見られてから時間がかなり経っていて、痛みも伴っていましたので骨頭を切り取る手術(骨頭切除術)を行うことになりました。

 

 

★ この手術は、5つの注意点をクリアーすれば成功します。

 

↑ 上の写真は、当院のCアームです。

 

 

★ 特に、骨頭部分が『 注意点どおりに切除されているか 』を判断する方法は、筋肉内での骨頭周辺の状態にあるため、目視検査では多少無理があるので、当院では『 Cアーム 』(X線透視撮影装置)という手術中にレントゲン撮影が出来る検査機器で『 正確な確認 』を行います。

 

 

■ 術後は経過も順調で、少しずつリハビリやレーザー治療も行い、2週間後にはほぼ着地可能になり、4週間後の診察では歩行は全く問題なく元気に過ごされていました。

 

 

■ 手術で切除した骨頭は病理組織検査を行いましたが、診断はやはり間違っていなかったようです。

 

 

★ レッグペルテス病は骨の変形がレントゲンではっきりわかるようになるには時間がかかることもあり、初期では痛みがあっても原因がよくわからないこともあります。

 

 

■ 成長期のワンちゃんで足を痛がるときは、定期的な経過チェックのために画像診断を含む診療も重要です。

 

 

 

獣医師 新井澄枝

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