【こんな症例も治りますシリーズ 711】『 猫の膿皮症が治らない 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、猫の皮膚炎です。

■ 通常の猫の皮膚炎は、この写真のようになります。

 

参照サイト:

https://00m.in/iKmrt

 

猫 8歳 日本猫 メス(避妊手術済み)

 

 

【 背中にハゲができた 】とのことで来院されました。

 

 

 

◆◆ 飼主様にお話を伺うと、2週間ほど前から頻繁に背中を舐めまわしていて、気が付いたらその部分が脱毛していたとのことでした。

 

 

 

 

■ 猫の膿皮症は犬に比べてまれですが、気を付けなければならない病気ひとつです。

 

 

 

■■ 膿皮症とは、主にブドウ球菌により起こる化膿性の皮膚炎です。

 

 

 

 

★ ブドウ球菌は正常な皮膚にも存在する常在菌ですが、体の抵抗力や皮膚のバリア機能が低下したり、皮膚に感染が起こりやすい病気を持っていたりすると膿皮症を起こします。

 

 

 

 

★ 膿皮症では、感染部位の痒みから、しきりに体を舐める、かくなどの症状が現れます。

 

 

 

 

★ また、皮膚には赤い発疹や中心に膿を持った発疹がみられ、脱毛することもあります。

 

 

 

 

★ さらに、炎症の部分にカサブタができたり、膿を持った発疹が破裂した状態になったりもします。

 

 

 

 

■ 膿皮症になったら感染している細菌に対し、抗生剤を使用します。

 

 

 

 

■ また、症状に応じて外用薬や抗菌シャンプーなどが使われます。

 

 

 

 

■ さて、このネコちゃんの場合、身体検査、血液検査及び皮膚検査を実施した結果、背中の痒み、脱毛、皮膚の赤み及び細菌の検出などから膿皮症と診断しました。

 

 

 

 

■ また、甲状腺機能低下症では、臨床症状として脱毛、毛質の変化や乾燥肌などがみられ、また膿皮症、脂漏症などの皮膚疾患を併発することもあります。

 

 

 

★ これらは甲状腺ホルモン(T4)が低くなると皮膚のバリア機能が阻害されるためと考えられています。

 

 

 

 

■ そこで、ネコちゃんには珍しいのですが、院内で血中のT4を測定したところやはり低値を示したことから、抗菌剤の他、T4を上げるお薬も処方することにしました。

 

 

 

 

■ 2週間後、血中T4を測定すると値は正常値の範囲内に戻っていました。

 

 

 

★ また背中の毛も生え、もちろん痒みもないことから、もう背中を舐めることもしなくなったと飼い主様も喜んでおられました。

 

 

 

 

★ これはお薬だけでは治り難かった膿皮症も皮膚のバリ機能が正常に働くようになったためと考えることができます。

 

 

 

 

 

■ 当院では、皮膚疾患の診断・治療において、局所(皮膚)だけに注目するのではなく、全身状態を考慮した診察・検査をするよう心掛けております。

 

 

 

 

 

 

★ もちろん、皮膚の脱毛は、心因性や外部寄生虫症によっても起こりますので、要注意ポイントです。

 

 

 

 

 

■ 気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

 

獣医師 泉 政明

Page Top