【こんな症例も治りますシリーズ 700】『 セカンドオピニオン診療 : ネコちゃんの猫エイズと難治性口内炎 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、鼻の断面のCT検査画像です。

■ 左上顎の第二前臼歯が歯周病(黄色矢印)のCT画像です。

 

 

猫 6歳 ミックス猫 メス(避妊手術済み)

 

 

 

【 歯が痛い、鼻汁がひどい 】、という主訴で来院されました。

 

 

 

 

◆◆ 他院で抗生剤や鎮痛剤の投薬を受けていましたが、改善しなかった、との事でした。

 

 

 

■ また、猫エイズ(猫免疫不全ウイルス感染症)をもっているとの事でした。

 

 

 

 

◆◆ 猫エイズは、疫学的には、日本国内で12%の猫が抗体陽性といわれています。

 

 

■ 特に野良猫で多く、主に咬み傷から感染すると言われています。

 

 

※ 猫免疫不全ウイルス感染症(FIV、猫エイズ)は、犬や人間には感染することはありません。

 

 

 

■ 発症しなければ、猫エイズ陰性の猫との生存率には差がないと言われています。

 

 

 

■ また、人ほどではありませんが、猫エイズ感染のネコちゃんは免疫が抑制されるため、慢性的な鼻炎、慢性口内炎、皮膚病、下痢、発熱などを起こすことがあります。

 

 

 

■ この子の症状は、慢性口内炎、鼻炎が疑われ、やはり猫エイズ関連疾患である可能性が高いと思われました。

 

 

 

 

◆◆ 口を開けてみてみると、口腔後部が発赤、腫脹しており、尾側口内炎(口の奥の歯肉に炎症あり)という状況になっていました。

 

 

■ 他院での今までの内科療法に反応していませんので、この場合は口内炎の原因になっている歯を抜歯する必要があります。

 

 

 

■ 麻酔処置が必要になるので、まずは呼吸状態の改善のため、自宅でのネブライザーを行うこととしました。

 

 

 

 

■ 二週間ほどネブライザー治療をしてみると、だいぶ鼻通りが改善しました。

 

 

 

 

◆◆ 身麻酔下で、頭部CT検査、その上で抜歯処置、鼻腔洗浄をすることとしました。

 

 

 

■ 猫は自分で鼻水を出せないので、鼻腔洗浄することで鼻の疎通を改善することが期待できます。

 

 

 

 

■ また、慢性鼻炎の場合は、鼻腔内腫瘍や異物を鑑別する必要があるため、CT撮影検査を行う事としました。

 

 

 

■ CT撮影検査後、鼻腔洗浄を行い、また歯は全臼歯を全抜歯しました。

 

 

 

 

■ すると、二週間後には鼻通りはかなり改善し、歯痛もなくなり、ドライフードを食べられるようになりました!

 

 

 

■ 鼻腔腫瘍、異物も見当たりませんでした。

 

 

 

 

■ 猫エイズが根本にあるため、慢性鼻炎は再度悪化しうりますので、自宅でのネブライザーは引き続き行う事としましたが、かなり生活の質は改善しており、楽しそうに暮らしているとの事でした。

 

 

 

■ 今後も注意して見ていきたいと思います。

 

 

 

 

獣医師 増田正樹

 

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