【こんな症例も治りますシリーズ 695】『 犬の急にひどくなったマイボーム腺炎 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、ワンちゃんのマブタに出来るマイボーム腺腫です。

■ 黄色の矢印の先端は、マイボーム腺腫です。 さらに大きくなると、マイボーム腺炎になります。

 

 

参照サイト:

https://00m.in/gIzyG

 

犬 8歳 ラブラドールレトリバー メス(避妊手術済み)

 

 

 

【 左眼の瞼(マブタ)のところが腫れていている 】とのことで来院されました。

 

 

 

◆◆ 飼主様からお話を伺ってみると、『 本人は特に気にしている様子はないのですが、昨日の夜、左眼の下の瞼の端がぷくっと腫れているのに気が付いたので診てもらえませんか? 』とのことでした。

 

 

 

■ マイボーム腺は、まつげの生え際にあり、油分を分泌して角膜上の涙を蒸発させにくくする役割を持った器官です。

 

 

 

★ この腺の分泌物出口が何らかの理由で詰まり、炎症が起こることをマイボーム腺炎と呼びます。

 

 

 

★ マイボーム腺にできる炎症は、『 麦粒腫(ばくりゅうしゅ) 』と呼ばれる細菌感染によるものと、マイボーム腺が詰まってしまい炎症を起こす『 霰粒腫(さんりゅうしゅ) 』の二種類に分かれます。

 

 

 

★ また、マイボーム腺炎は1つの場所で発生する場合もありますが、同時に複数ヶ所で発生することもあります。

 

 

 

■ 特にアレルギー体質の子は発症しやすいと言われており、また麦粒腫と霰粒腫のどちらも、初期にはマブタにニキビのような小さなできものが現れる点で共通しています。

 

 

 

■ 症状としては、麦粒腫の場合、状態が進むにつれてマブタの周りが赤く腫れ上がり、痛みを伴い、涙や目やにの量が増えたり、目が赤く充血したりすることもあります。

 

 

 

◆ 細菌感染が重度になると、マブタ全体が腫れることもあります。

 

 

 

◆ 一方、霰粒腫は麦粒腫ほど痛みを伴うことは少なく、まぶたの裏側に白っぽいニキビのような硬いできものが現れるのが特徴です。

 

 

 

◆ これは、マイボーム腺が詰まり慢性的な炎症を引き起こしている状態です。

 

 

 

■■ マイボーム腺炎の治療方法は、麦粒腫と霰粒腫で大きく異なります。 麦粒腫の場合は、抗生物質の投与によって、比較的早く治ります。 一方、霰粒腫の場合は、外科手術を行い、詰まっている分泌物の排出を行う必要があります。

 

 

 

■ さて、このワンちゃんの場合、問診と眼科検査で初期の麦粒腫と診断されたので、抗生剤と抗炎症剤を処方することにしました。

 

 

 

■ まずは、2週間、内服による治療を続けますが、効果が見られない場合は、外科的処置も考慮する必要があるでしょう。

 

 

 

★ その際は、しっかりと飼い主様と話し合い、一緒になって、これからのワンちゃんの健康を見守っていけたらと思います。

 

 

 

獣医師 泉 政明

 

Page Top