【こんな症例も治りますシリーズ 694】 『 悪化していたワンちゃんの子宮疾患 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、摘出した子宮蓄膿症の卵巣と子宮です。

■ 犬の子宮はYの字型をしています。 

■ 詳細は、本文をお読みになった方が良く分かります。

 

犬 トイプードル 8歳 メス(未避妊手術)

 

 

【 2日前から食欲が無くなり、オリモノが出ているかも 】とのことで来院されました。

 

 

 

◆◆ 実際はオリモノではなく尿失禁でしたが、不妊手術をしていないワンちゃんでしたので子宮疾患も強く疑われ、早速血液検査、腹部エコー検査、膣スメア検査を行いました。

 

 

 

■ 血液検査では白血球数が通常よりも3倍高い値でした。

 

 

 

■ 膣スメアでも細菌が沢山みられました。

 

 

 

■ また、コー検査でも子宮内に液体の貯留が認められ、非開放性の子宮蓄膿症の疑いが強まりました。 膿が子宮から出にくい状態になっています。

 

 

 

 

◆◆ 2日前から食欲が低下しているため、早く手術をしないとDIC(播種性血管内凝固)や敗血症性ショックに陥り、死亡する可能性も高くなってしまいます。

 

 

 

■ 静脈点滴をし、緊急に卵巣・子宮全摘出術を迅速に行いました。

 

 

 

★ 子宮はパンパンに膨らみ中には膿が充満していました。

 

 

 

★ 術後は一時的に白血球数がさらに上昇しましたが体調は良く食欲も戻りました。

 

 

 

★ 退院後に自宅で傷口を舐めないようにするエリザベスカラーを外していた隙に、術部を舐めて傷が開くアクシデントがありましたが、元気に過ごしています。

 

 

 

■ シニア期に入ると卵巣ホルモンに異常をきたし、子宮蓄膿症になってしまうケースがあります。

 

 

 

■ 高齢で持病があると麻酔に踏み切れないこともありますので、避妊手術は健康な若い年齢の時にしておくことをお勧めします。

 

 

 

■ また発情期を経験せずに卵巣摘出をしてしまった方が、乳腺腫瘍(悪性・良性)の予防にもつながります。

 

 

 

 

獣医師 新井澄枝

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