【こんな症例も治りますシリーズ 693】 『 ウサギの次世代医療・CT検査を活用したので診断出来た異常像 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、今回のレントゲン検査(左)とCT検査(右)です。

■ 黄色い矢印の先端に『球形の白い部分』がありますが、これが異常部分です。

■ レントゲン検査は、腹部を横から見た像です。 CT検査は、腹部を輪切りにした像です。

 

 

ウサギ 3歳 (避妊手術済み)

 

 

【 いつもと違う場所で排尿するようになった 】とのことで来院されました。

 

 

 

◆◆ 採尿が出来ず、尿検査できませんでしたが、腹部レントゲン検査で撮影したところ、膀胱と思われる場所に結石様の陰影を認めました。

 

 

 

■ 膀胱結石あるいは、手術して無いはずの子宮の異常像が疑われました。

 

 

 

◆ ウサギの膀胱結石は無(結)晶性炭酸カルシウム結石であることが多く、食事の種類や、塩類の過剰摂取、細菌の感染、飲水量の減少が原因である事があります。

 

 

 

■ まずは点滴治療や、抗生剤治療、尿石用のサプリメントの内科療法を行なって、変化を見ることとしました。

 

 

 

◆ 2週間経ちましたが、症状は変わりませんでした。

 

 

 

■ 『 やはりいつもと違う場所で排尿してしまう 』、とのことです。 血尿や頻尿はないとの事でした。

 

 

 

■ 再度、レントゲンを撮影したところ、結石様の陰影は変わりませんでしたが、なんだか膀胱と外れた場所にある様にみえました。

 

 

 

■ 膀胱結石であれば、内科療法に反応しないので、外科手術による摘出しかありませんが、違うなら外科は必要ありません。

 

 

 

 

◆◆ そこで、CT撮影検査を行ってみることとしました。

 

 

 

 

◆ ウサギはびっくりしたときなどは固まって身動きしなくなる習性があるため、単純撮影であれば麻酔はせずにCTを行えます。

 

 

 

◆ CT撮影してみると、膀胱の横に、石灰化のようになっているのが分かりました。

 

 

 

■ おそらくは避妊手術の手術痕であると考えられます。

 

 

 

■ 膀胱の真横にあるため、レントゲンでは判断がつきにくかったのです。

 

 

 

■■ 不適切排尿は、結石が原因ではないと考えられました。 どうやら最近は家の中のモノの配置をかえたり、ご家族様の出入りがあったり、ストレスが要因のようです。

 

 

 

■ そこで、環境整備をしていただくことにしました。

 

 

 

■ 子宮の断端腫であった場合、膀胱との癒着が起こっている可能性あると、排尿トラブルの治りが悪いので、要注意です。 しかし、今回の症例ではその後継続した悪化は見られなかったようなので、良かったです。

 

 

 

 

# 次世代医療の一つであるCTを撮影することで、レントゲンでは判断がつかなかった診断をすることができた症例でした。

 

 

 

 

獣医師 増田正樹

 

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