【こんな症例も治りますシリーズ 686】 『 足の表面に急激に大きくなった腫瘍 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、左後肢に出来た腫瘍手術の皮膚形成外科です。

■ 左は、腫瘍を切除した部位の写真です。

■ 右は、皮膚が無い切除部分に特殊な方法を使って、縫合部位への張力を減張して縫合した写真です。

 

 

犬 ヨーキー 5歳 オス(去勢手術済み)

 

 

【 左後肢にシコリが出来た 】、という主訴でいらっしゃいました。

 

 

 

◆◆ 診てみると、左後肢の手根関節の上に、1センチほどのシコリがあります。

 

 

 

■ まずは、細胞診検査という、針を刺して細胞を採取する方法で、腫瘍の鑑別を行う事としました。

 

 

 

★ その結果、『 非上皮性腫瘍の疑い 』、という病理学専門医の診断でした。

 

 

 

 

◆◆ 非上皮性腫瘍とは、体の上皮性細胞以外から出来る腫瘍で、骨、筋肉、脂肪組織、血管、リンパ管など多岐にわたる組織に由来します。

 

 

 

■ 腫瘍の巨大化が早かったことから、悪性度が高かった場合、周囲の組織への浸潤性が高い可能性もあり、CT検査と同時に切除生検を行う事としました。

 

 

 

■ CT検査では、周囲に浸潤している様子はありませんでした。

 

 

 

# CT検査装置が院内にあり、即日ワンストップで検査結果が出る事は、とてもありがたい事で、手術をする上でも助けられています。

 

 

 

 

■ 左後肢の腫瘍を切除しましたが、切除部位として小型犬の足を想像してみていただければ分かると思いますが、細い脚ですので容易には縫合時に皮膚が伸びません。

 

 

 

◆◆ そこで、皮膚形成外科学の原理原則に則って、周囲組織の皮膚を剥離して特殊な伸展方法で皮膚を伸ばして、さらに皮膚の裏面にアンカー縫合を複数個所おこなって、自信を持って縫合できました。

 

 

 

■ 縫合場所にテンションがかかりすぎると、癒合が上手くいかないため、細心の注意が必要でした。

 

 

 

 

■ 2週間後、きれいに皮膚が元通りになったため抜糸を行いました。

 

 

 

 

◆◆ 病理組織検査結果は、『 毛包腫 』で、良性の腫瘍でした。

 

 

 

■ 完全切除出来ていましたが、この腫瘍は再発する可能性があるため、今後も注意してみていきたいと思います。

 

 

 

 

獣医師 増田正樹

 

 

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