【こんな症例も治りますシリーズ 680】 『 犬の眼のぶどう膜炎 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、犬のぶどう膜炎の眼です。
 
◆ 多くの飼主様が結膜炎と間違って認識されやすい、ぶどう膜炎です。

◆ 詳しくは、本文をお読みください。

 

 

参照サイト:

https://00m.in/AUxXe

 

犬 フレンチブルドック 6歳 オス(去勢手術未実施)

 

 

【 眼が赤く、ショボショボして痛そうだ 】とのことで来院されました。

 

 

 

◆◆ 飼い主様からお話を伺ってみると、『 元気、食欲はあるんだけど、最近、左の耳を痒がって、結構激しく掻いていたのですが、2日前から左眼の白眼が充血していて、また涙目でちゃんと開かない時があるんです。 』とのことでした。

 

 

 

■ ぶどう膜とは

 

 

① 虹彩(眼球に入ってくる光の量を調整する絞りの役目)

② 毛様体(虹彩を調整する筋肉)

③ 脈絡膜(脈絡膜は眼球や網膜に栄養を送る機能)など の総称です。

 

 

 

 

◆◆ ぶどう膜が炎症を起こすと、眼球結膜と強膜に強い充血(いわゆる赤目)、羞明(まぶしがること)や流涙、痛みによる眼瞼痙攣がしばしばみられます。

 

 

 

■ また、ぶどう膜炎を起こしている側の眼に縮瞳(瞳が小さく縮まっている状態)がみられることもあります。

 

 

■ 網膜にまで炎症が広がると、緑内障、視力低下や失明に至る場合があるので早めの治療が大切です。

 

 

 

 

◆◆ ブドウ膜炎になる原因はさまざまなものがあります。

 

 

◆ 一番多いのは原因がよく分からない特発性や、免疫介在性のブドウ膜炎です。

 

 

 

 

◆ その他、感染性(ウイルス、細菌、真菌、寄生虫など)、高脂血症(ミニチュアシュナウザーに多い)、腫瘍性、また、目への強い衝撃や角膜穿孔(かくまくせんこう:角膜に穴が開く)、目の手術などにより、外傷性のブドウ膜炎も起こります。

 

 

 

 

 

■■■ さて、このワンちゃんの場合、詳細な眼の検査をしてみると、左眼に眼球結膜と強膜に強い充血、流涙がみられ、また左側のみ縮瞳がみられました(後で縮瞳を治す薬剤を点眼すると正常にもどりました)。

 

 

◆ また、シルマー試験紙では涙の量は正常でしたが、フルオレセイン染色で角膜に傷があることがわかりました。

 

 

◆ スリットランプ検査により、前眼房にフレアがみられ、眼圧測定では左眼の眼圧が低いことがわかりました。

これらのことから、『 ぶどう膜炎 』と診断しましたが、原因については(特定はできないのですが)問診から左耳を激しく掻いていたこともあり、もしかしたら誤って傷をつけた可能性も考えられたことから『 外傷性ぶどう膜炎 』と診断し、消炎剤、抗生剤および粘膜保護の点眼薬を処方しました。

 

 

 

 

■ 2週間後、来院していただくと『 先生、眼が赤いのも、涙目もなくなり、良くなりました 』とうれしそうにお話下さいました。

 

 

 

 

◆ 検査すると、左眼の充血、縮瞳もなくなり、眼圧も正常に戻っていました。

 

 

 

■ 気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

獣医師 泉 政明

 

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