【お困りではありませんか? アドバイスしますシリーズ 32】 『 意外と知らない 犬フィラリア予防 』について を紹介します

↑ 上の写真は、犬フィラリアの仔虫である血液中のミクロフィラリアです。

■ ヘビのような形をしているのが、ミクロフィラリアです。

■ 血液塗抹像ですので、虫の周囲は血球です。 ミクロフィラリアが、かなり小さいのが分かりますね。

参照サイト:

https://00m.in/gQhPK

 

■■■ 『 ワンちゃんの フィラリア予防 』 編

 

 

◆◆ 『 4月に入り、フィラリア予防薬のシーズンになりました 』

 

 

■ 今回は「フィラリア検査」について少しお話してみたいと思います。

 

 

 

■ フィラリア症(犬糸状虫症)は、蚊が媒介する寄生虫(フィラリア)が、ワンちゃんでは主に心臓や肺の血管に寄生し、心不全などを起こす病気です。

 

 

■ もう少し詳しくお話すると、フィラリア症は、蚊による吸血の際に、蚊の体内にいるフィラリア子虫が犬の体内へ移行することから始まります。

 

 

■ 犬の体内に入ったフィラリア子虫は脱皮を繰り返して成長し、約50日間かけて最終の寄生場所である心臓・肺動脈にたどり着き、そこで成虫になります。

 

 

■ そして、心臓内の寄生しているフィラリア成虫が多くなると、心不全などの症状が発現されるようになります。

 

 

■ したがって、この症状が発現する状態を抑制できれば、フィラリア症になることを回避することができますが、既に成虫となったフィラリアに対して直ぐに殺虫する効果を発揮する駆虫剤はないので、そのため心臓内に侵入する前のフィラリア子虫を駆除できるお薬(いわゆる「フィラリア予防薬」)を投与をすることでフィラリア症を予防する必要があるのです。

 

 

 

 

◆◆ さて、ここからが今回の本題です。

 

 

■ ただ、このフィラリア予防薬は、フィラリア子虫が体内にいる状態のワンちゃんに投与すると重大な副作用を引き起こすことがあります。

 

 

■ その副作用とは、① 駆除により死んだフィラリア子虫の死骸に対するワンちゃんの生体異物反応(ショック症状)、② 死骸が肺や臓器の毛細血管に詰まることによる臓器障害等が考えられます。

 

 

 

■ 従って、フィラリア予防薬を投与する前には、必ずフィラリア検査を行い、現時点でフィラリア子虫がワンちゃんの体内にいないことを確認することが重要となります。

 

(さらにちょっとだけ付け加えると、期間外の蚊や予防薬の飲み忘れによる感染により、既に心臓にフィラリアの成虫がいる場合を考慮したフィラリア検査も行うことがあります)。

 

 

 

■ フィラリア予防薬は、フィラリア成虫に対しても前述のように『 徐々に殺虫する効果 』がありますので、いきなり成虫が弱って心臓や肺動脈に増加した場合や、小型犬では右心の房室弁である三尖弁にコイル状に虫体が絡まって、『 ヴェナ・キャバ・シンドローム(VCS,別名;大静脈症候群) 』という100%の死亡率の病気になります。

 

 

 

■ 昔は、フィラリア予防の事前血液検査をしない場合が多かったので、前述の『 VCS 』で亡くなった犬が多かったです。 今後も注意したい点です。

 

 

 

 

 

◆◆ 以上のことから、「フィラリア検査」の必要性はご理解いただけたと思いますが、フィラリア予防において、より重要なことは「フィラリア予防薬」の確実な投与によりフィラリアに感染させないことです。

 

 

■ そのためには、「蚊の出現」を「蚊に刺される」と考え、「蚊の出現から1ヶ月以内(成虫になる前の「50日以内に1回目のフィラリア予防薬」、これを安心を考慮して「1か月以内の予防薬投与」)から蚊の出現終了の次の月まで(具体的には4月~12月)、適正量の予防薬を確実に投与することが最も大切なことであることを忘れないで下さい。

 

 

 

■ お困りの点がありましたら、気軽にご相談下さい。

 

 

 

 

獣医師 泉 政明

 

 

 

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