【こんな症例も治りますシリーズ 663】 『 セカンドオピニオン紹介診療: 他院から紹介されてきた 猫ちゃんの下顎腫脹 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、この子のCT画像です。

■ 口の断面画像です。

■ 上が上顎骨で、下が下顎骨です。

■ 『赤矢印』は、下顎歯の歯周病の部分です。

■ 『黄矢印』は、問題の下顎腫脹部分です。

 

 

猫 ミックス猫 12歳 オス(去勢手術済み)

 

【 口から出血し、他院を受診。 腫瘍の可能性を指摘され、当院を紹介された 】という形で来院されました。

 

 

◆◆ 診察してみると、下顎が腫れています。

 

 

■ 早速レントゲンを撮影したところ、下顎に骨増性像が見られました。

 

 

■ 犬では、この部位だと骨腫瘍が鑑別に上がりますが、猫ではそれほど多くはありません。

 

 

 

■ それより、その付近での軟部組織に発生した腫瘍、扁平上皮癌が骨転移している可能性、もしくは下顎犬歯がかなり揺動していることもあり、歯周炎から骨髄炎が起こっている可能性を考えました。

 

 

 

■ 全身麻酔下での骨生検、軟部組織生検、抜歯処置が必要です。

 

 

 

 

◆◆ しかし麻酔前の検査で、『 肥大型心筋症と、それによる大動脈狭窄 』がみつかりました。

 

 

◆ まずは心臓薬による治療を開始し、経過を見ることとしました。

 

 

■ 2週間後、大動脈領域の乱流はかなり収まっていました。

 

 

 

 

■ 慎重に麻酔を行い、無事に歯科治療と病理検査のための骨生検を終える事が出来ました。

 

 

 

◆◆ CT検査上、やはり筆頭鑑別は歯周炎とそれに続発した骨髄炎でした。

 

 

◆ 病理組織検査上は、生検した下顎骨組織は問題なし、軟部組織生検では感染所見がみられました。
腫瘍組織は見当たりませんでした。

 

 

■ 病理組織検査、画像検査の矛盾がないことから、腫瘍の可能性は完全には否定できませんが、『 歯周炎と、それに続発した骨髄炎 』として治療していく事になりました。

 

 

 

■ 腫瘍であった場合、下顎切除が必要になるなど生活の質が大きく低下してしまいます。

 

 

 

■ 今後も注意して経過を見ていきたいと思います。

 

 

 

獣医師 増田正樹

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