【こんな症例も治りますシリーズ 626】 『 巨大な脾臓腫大 と 併発した肥満細胞腫 』も 適切な診断と治療で治します

↑ この写真は、この症例の脾臓摘出時の写真です。

■ ぼかし効果を20%かけております。 鮮明な画像ですと、『気持ち悪い』という方がおられる為の加工です。

■ 中央の赤い部分が、巨大な脾臓腫瘤です。 当院では、この部分を5分間で摘出します。

 

 

犬 柴犬 13歳 メス 未去勢手術

 

 

【 食欲、元気の低下が見られたため、かかりつけ医に受診したところ、腹部の異常な張りから内臓腫瘍の疑いがある 】と言われて、当院を紹介されました。

 

 

 

◆◆ 早速、血液検査、レントゲン検査、腹部エコー検査を行ったところ、腹腔内に巨大腫瘤が存在し、腹水も確認されました。

 

 

■ 血液検査で貧血が見られたため、腹水は腫瘍からの出血の可能性がありましたが、念のため腹水検査を行い、その腹水の細胞には『がん細胞は認められない』結果が分かりました。

 

 

 

■ また包皮に腫瘤があり、細胞診検査で肥満細胞腫であることがわかりました。脾臓腫瘤の細胞診では髄外造血という結果でした。

 

 

 

■■ 安全に行う事前準備として、止血剤や鉄分の補給をしながらCT撮影を行いました。

 

 

 

 

 

■ CT検査結果は、腫瘤は脾臓から発生していて、肺や肝臓に明らかな腫瘍転移像は見られませんでした。

 

 

 

◆◆ 血液凝固能もしっかりありましたが、輸血の準備をして脾臓摘出手術を行いました。

 

 

■ このような脾臓摘出手術は、当院では、特殊な高度医療機器があるので、実際には5分間で終わります。 その為、動物への負担がとても少なく、術後の成績も良いです。

 

 

■ 包皮の肥満細胞腫(悪性腫瘍)は本来は、腫瘤の辺縁から2~3センチの正常組織を含めた広範囲の切除が望ましいのですが、ペニスの露出をさせない範囲で可能な限り、計画的に切除をしました。

 

 

 

■■■ 病理組織検査の結果は、

 

★ 脾臓腫瘤は『 脾血腫 』、ペニス包皮の『 肥満細胞腫はPatnaik分類グレードII、二段階グレード法で低グレード 』でした。

 

★ 脾臓は腫瘍ではないので切除で問題なさそうです。

 

 

★ 脾臓の腫瘤は血管肉腫など悪性腫瘍の確率が高いので、飼い主様もとても心配されていらっしゃいましたが、一安心できてよかったです。

 

 

 

★ 同時に去勢手術も行えて動物さんは元気いっぱいに過ごされている様です。

 

 

 

 

■■ 肥満細胞腫については、切除縁に腫瘍細胞が確認されていると報告されているので、今後再発の可能性も充分考えられます。

 

 

★ ステロイドホルモン剤、分子標的薬を服用開始し、今後再発が起きた時はペニスを含めた拡大切除も考えています。

 

 

■■ 当院内に、CT検査施設があるので、判断が迅速になる事で、手術までの時間が短くなり、本当に良かった症例でした。

 

 

 

獣医師 新井澄枝

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