【こんな症例も治りますシリーズ 624】 『 ハムスターの脱毛 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上のイラストは、ハムスターの脱毛像です。

■ ハムスターの脱毛は複数の原因があります。 詳しくは、本文をお読みください。

 

参照サイト:

https://00m.in/JmqJE

 

ハムスター ジャンガリアンハムスター 1歳 メス (未避妊手術)

 

 

【 耳の後ろ側が禿げてきた 】とのことで来院されました。

 

 

 

◆◆ 飼い主様からお話を伺ってみると、『 4日ほど前、左耳の後ろ側の毛が抜けていることに気がついたのですが、それから痒いのか、しきりに気にしていて、脱毛がだんだん広がって大きくなっているみたい 』とのことで来院されました。

 

 

■ ハムスターの脱毛の主な原因は、

 

 

①ストレス ② ダニ・細菌等の感染性皮膚炎 ③アレルギー ④内分泌系疾患、腫瘍などが考えられます。

 

 

◆ ハムスターの場合は、検査にも制限がありますので、皮膚炎が出やすい場所とか痒みのあるなしなどにより鑑別診断していきます。

 

 

◆ 例えば、ストレスによる脱毛では、気を紛らわそうと後ろ足で、顔、耳、背中、胸、お腹などでしきりにかくため、体の一部分が脱毛する場合が多く、円形・ひし形状の脱毛が生じます。

 

 

 

◆ ただ、あまり痒がるそぶりはみられないことが多いです。

 

 

 

 

◆ 一方、ダニや細菌などの感染性皮膚炎では、ある特定の部位を痒がり、ハムスターがその箇所を引っ掻くことで脱毛が発生します。

 

 

◆ 顔、耳、背中、お腹、胸などに起きる場合が多く、ストレス性と比べると、引っ掻き傷や赤みを伴うことがあることが特長です。

 

 

 

◆ アレルギーが原因の場合はアレルギー性皮膚炎と呼ばれ、皮膚の赤み、痒み、脱毛、目の周りの赤みなどを伴います。

 

 

◆ ハムスターがアレルギーを起こす原因で特に多いのは、スギ、マツなど針葉樹を使った床材(ウッドチップ)です。

 

 

 

 

◆ また、「甲状腺機能低下症」「副腎皮質機能亢進症」などの内分泌疾患、「副腎腫瘍」や「皮膚型リンパ腫」など腫瘍が原因で脱毛になることもあります。

 

 

 

 

 

◆ 内分泌疾患など場合には、体の広範囲あるいは複数の箇所に脱毛が現れたりします。

 

 

◆ また、多くは脱毛のほかに全身の症状を伴います。

 

 

 

■■ さて、このハムスターの場合、初めは小さな円形の脱毛だったのが、痒がって後ろ足で引っかくため、気がつくと脱毛は後ろ側へ大きく広がり、肌は赤く、傷がついたところは膿の様なもので黄色になっていたことから、細菌感染により炎症が増悪化したものと考えられました。

 

 

 

■ 因みに、皮膚検査では寄生虫は陰性、また、エコー検査でも明らかな腫瘍等は認められませんでした。

 

 

■ 治療としては、内服の抗生剤を処方するとともに、床敷きとしてウッドチップを使用しているとのことから、アレルギー性皮膚炎を考慮して、紙製の床敷きに交換すること、また、良好な衛生環境を保つため、床敷きの交換を最低でも1回/週はするようにとお伝えしました。

 

 

 

■ 2週間後、来院していただいたところ「すっかり、肌も良くなって、毛も生えてきました」と嬉しそうにお話下さいました。

 

 

 

■ 気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

 

獣医師 泉 政明

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