【こんな症例も治りますシリーズ 609】 猫の『 歯頚部疾患も疑いのある歯石除去 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、猫ちゃんの歯石と歯肉炎(黄色矢印部分)です。

■ 左が治療前、右が治療後です。

■ 当院は、2種類の歯面ポリッシング仕上げを行いますので、歯石の再付着が少ないです。

■ 歯頚部疾患(ネックリージョン)が無かったのに、これだけ歯肉炎が酷いと、再発しやすいケースになります。 今後、要注意です。

 

 

ネコ ミックス猫 3歳 メス(避妊手術済み)

 

 

【 歯石が気になる 】という事で来院されました。

 

 

◆◆ 口を開けてみてみると、上顎の臼歯に歯石がつき、歯肉炎が起こっています。

 

 

■ 猫の歯肉炎の原因は、歯石だけでなく、猫免疫不全ウイルスや猫白血病ウイルス、猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルスなどの感染症が関わっている場合があります。

 

 

■ 重度である場合は抜歯も必要となります。

 

 

 

◆◆ 通常は、歯石は上顎という、下顎に覆いかぶさるような『 いわゆる頬の粘膜に接触しやすい上の歯、しかも歯の外側 』に付きやすいのが普通です。

 

 

■ 下の顎の歯は、食事を食べる時に摩擦によって歯石が取れてしまいますので、付着しにくい構造になっています。

 

 

※ また、猫の場合、歯頚部疾患という『 歯石の下に虫歯ではないのに、歯の表面から穴が開いてしまう 』病気がありますので、注意が必要です。

 

 

 

 

 

★★★ このネコちゃんには、症状に粘膜の潰瘍が無い事、既往歴から感染症の可能性は低そうでした。

 

 

※ そこで、今回はPCRなどの精密検査を避けて、ゴールデンルールの治療に進みました。

 

 

 

 

◆◆ 治療方針として、まずは歯石の除去をしっかり行い、抗生剤療法、抗炎症薬による治療を行う事としました。

 

 

 

 

■ 全身麻酔下で、歯の状態の事前計測を行い、歯周ポケット(歯縁下)までしっかりと歯石を除去し、歯の周囲をブラシ歯面ポリッシングと鏡面仕上げポリッシングしました。

 

 

 

※ この際に、上述した歯頚部疾患(ネックリージョン)や、見逃しやすい歯周病の検査を行いましたが、いずれも正常域でした。

 

 

 

■ その後、内科管理を行ったところ、歯肉炎も治まり、健康な歯を取り戻す事ができました。

 

 

■ 今後、自宅での歯磨きをしっかりしていただき、経過を見て行きたいです。

 

 

★ 当院には、『 アフタフォローとして 』歯石を再付着させないような検査プログラムがあります。

 

 

★ このプログラムを真面目に行っている方は、猫ちゃんでも綺麗に歯を維持することが出来ます。

 

 

 

獣医師 増田正樹

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