【こんな症例も治りますシリーズ 604】 犬の『 食物アレルギーによる眼瞼炎 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、犬の右眼の眼瞼炎です。

■ アレルギー性の眼瞼炎も、同様の状態になります。

■ しかし、実は検査をしてみると、この子は眼瞼に毛包虫という寄生虫が、通常の皮膚よりも多くあることで眼瞼炎が発生していた事が分かった症例です。

■ このように、眼科診断は検査をしてみないと分からないことが沢山あります。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3LpbAmF

 

犬 マルチーズ 1歳 オス(去勢手術済み)

 

【 眼をずーっと気にしている 】という事で来院されました。

 

 

◆◆ 本件は【こんな症例も治りますシリーズ 579】犬の『 セカンドオピニオン診療で来院された眼瞼炎』の続きです。

 

 

■ 前回、このワンちゃん、「 眼を気にしていて、特に食事の後に床に顔を擦りつける 」ということで、「 食物アレルギーによる眼瞼炎 」と診断し、治療法として、抗アレルギーのための療法食を試してもらったところ、まぶたと口のまわりの赤みは消え、顔を床にこすり付けることも、ほとんどしなくなったとのことでした。

 

 

 

■ 今後は、食物アレルギーの原因を探るため、アレルギー反応試験など行う予定。 というのがこれまでのお話でした。

 

 

★★★ 食物アレルギーとは、食物中の抗原(主にタンパク質)に対する過剰な免疫反応によって、皮膚の痒み(眼・口の周り、背中、肛門周囲等の痒み)や、下痢、嘔吐、などの症状が起きることを言います。

 

 

 

■ 食物アレルギーは、とくに1才未満の子犬に発症しやすいといわれています。

 

 

■ また、食物アレルギーの場合は、食べ物によるものなので季節を問わず1年中症状が現れるのも特徴です。

 

 

 

■ 食物アレルギーの治療では食物中の抗原を排除することが重要ですが、疑いのある症状が本当に食物アレルギーによるものなのか、また食物中の何が抗原なのかを特定することはとても困難です。

 

 

 

■ そのため、まず加水分解タンパクやアミノ酸を使用した療法食を与えながら治療的診断を進めていきます。

 

 

 

■ 加水分解タンパクとは、消化酵素などを用いて分解した状態のタンパク質で、免疫細胞に抗原として認識されにくいという特性があります。

 

 

 

■ 従って、この療法食に替え症状が治まれば、これまで食べていた食物によってアレルギーが引き起こされていたことが分かりますが、ただ、食物中のどれが抗原となっていたかまでは特定することができません。

 

 

 

■ そこで、現在では、血液検査(アレルギー反応試験)により、食物中のどの抗原に反応しているかを調べることができるので、検査結果に基づいて、その抗原が排除された食物に変更することで、アレルギーを防ぐことができます。

 

 

 

 

■■■ さて、このワンちゃんの場合、加水分解タンパクの療法食に替えたところ、皮膚症状はなくなり、顔を床にこすり付けることもしなくなったため、「 食物アレルギーによる眼瞼炎 」と診断しました。

 

 

 

■ そこで、食物中の原因となる抗原を調べるため、前回、血液を採取しアレルギー反応試験も実施していました(アレルギーを引き起こしやすい代表的な抗原としては、肉類(牛、羊、豚、鳥)、白米、大豆、大麦、小麦などがあります)。

 

 

 

■ アレルギー反応試験の結果、このワンちゃんは、以前の食事中に含まれている「大豆」に反応して、アレルギーが引き起こされていたことが分かりました。

 

 

 

■ そこで、大豆抜きの食事に替えてもらいましたが、今のところアレルギーは全くない、と嬉しそうに電話でお話下さいました。

 

 

 

■ 気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

 

獣医師 泉 政明

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