【こんな症例も治りますシリーズ 594】 猫の『 甲状腺機能亢進症と隠れている腎臓病の合併症 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上のイラストは、猫ちゃんの甲状腺と腎臓の位置を示しています。

■ 首にある臓器が、『甲状腺』です。

■ 腹部にある臓器が、『腎臓』です。

★ この2つの臓器は、血流速度において密接に関係しています。

 

 

参照サイト:

https://00m.in/oHKmd

 

猫 ミックス猫 13歳 オス(去勢手術済み)

 

 

【 夜鳴きがひどく、鳴き声がとにかく大きい 】とのことで来院されました。

 

 

 

◆◆ 飼主様からお話を伺ってみると、『 最近、夜になると大きな声で鳴くので、家族のみんなが寝られないんです。 』

 

■ 『 それだけでなく、この子、良く食べるのに、体重が落ちてしまって 』と頻繁に嘔吐することも心配になり、当院のホームページをみて来院されたとのことでした。

 

 

 

■■ 甲状腺とは、気管の横に付いている小さな臓器で、甲状腺機能亢進症は、甲状腺から甲状腺ホルモン(このホルモンは、新陳代謝の促進や心臓や胃腸を活性化する働きがあります)が過剰に分泌されることで様々な症状を引き起こす病気です。

 

 

 

■ 主な症状は、多食・多飲多尿・嘔吐・活動性亢進・体重減少などです。

 

 

 

■ 診断法は、問診、身体検査によるこの疾患の特徴の確認と血液検査(甲状腺ホルモンの測定も含む)などによって診断を行います。

 

 

 

■ 内科的治療としては、基本的にチアマゾールという甲状腺ホルモンの合成を阻害し、その量を減らすお薬を処方します。

 

 

 

 

■■ 甲状腺機能亢進症では、治療により症状が落ち着いた際に、注意しなければいけないものが腎臓病です。

 

 

■ 甲状腺機能が亢進すると腎臓への血流が多くなるので、もともと腎臓に障害があり、それが進行していても、状態が軽く見える、または腎臓病の症状が現れていないことがあります。

 

 

■ そのため、治療によって甲状腺ホルモンが正常値まで下がると腎臓への血流量が少なくなり腎臓病が悪化、ないしは表面化することがあるのです。

 

 

 

■■ また、肥大型心筋症を既に患っている猫が甲状腺機能亢進症を併発してしまうと、心筋の肥大が重度になり注意が必要です。

 

 

 

 

■■ 同様に、血行が多い肝臓への負担も甲状腺機能亢進症では大きくなりますので、ご注意下さい。

 

 

 

◆◆ さて、このネコちゃんの場合、問診の結果から甲状腺機能亢進症という病気が背景にあるのではないか、と強く疑われたため、全身の血液検査と、甲状腺ホルモンを測定する血液検査をさせていただきました。

 

 

■ その結果、肝酵素(ALT)やALPの上昇の他、甲状腺ホルモンの数値が正常値の2倍以上高くなっていたため、甲状腺機能亢進症と判断し、治療を開始しました。

 

 

 

 

■ 抗甲状腺ホルモン薬を処方して3週間後、血中の甲状腺ホルモン濃度を測定したところ、濃度は正常の範囲内にあり、飼主様から『 あれ以来、夜鳴きも声の大きさも元に戻り、体重が増加して、全身状態もとても良くなりました 』とおっしゃっていました。

 

 

 

■ ところが、同時に行った全身の血液検査では、腎臓機能を示すBUNとCREの値が高くなっていて、もともとの腎臓病が表面化したことがわかりました。

 

 

 

 

 

■ そのため、尿を採取して尿検査を行ったところ、尿比重は低いものの、タンパクは出ていないことから、当院で行っているドイツ自然医学療法の内服薬を今後は併用していくことにしました。

 

 

 

■ 腎臓病の治療は始まったばかりですが、今後も甲状腺亢進症の治療とともに腎臓病もしっかりとモニターしていきます。

 

 

 

獣医師 泉 政明

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