【こんな症例も治りますシリーズ 582】 猫の『 繰り返し起こる尿道閉塞 』も 適切な診断と治療で治します

上の写真は、尿中の結石になる素の結晶です。
ストルバイト結晶といいます。
■ 実は、処方食メーカーが2014年に発行した下部尿路疾患特集号の表紙ですが、この10年ほど前から処方食の中身も改良が重ねられてきました。
◆ 私達専門家は、処方食(病院食)がドンドン良くなってきている事を、とても感じています。
■ しかし、一般のペットフードは、あまり大きな進歩を感じません。
■ 今回の猫ちゃんも、一般のペットフードを食べて『 再発 』しました。 獣医師に正しく処方された療法食のみ食べましょう。 ぜひ、ご注意ください。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3DRHm86

 

 

 

猫 ミックス猫 4歳 オス(未去勢)

 

 

【 排尿回数が多く、またトイレ以外で排尿してしまう 】とのことで来院されました。

 

 

◆◆ 尿検査では潜血反応とストルバイト結晶が多量に見られましたが、レントゲンでは泌尿器系に結石は見られませんでした。

 

 

■ 膀胱炎の治療とともに、ストルバイトは食事療法で良化するので、早速処方食を開始してもらいました。

 

 

■ また同居猫ちゃんも結石に対するサプリメントを服用中でしたので、一緒に服用してもらうことになりました。

 

 

 

 

 

 

■■ しかし数日後食欲が全くなくなり、丸1日尿もほとんど出ていないとのことで再来院されました。

 

 

■ 触診すると膀胱が硬くなっていて尿閉になっていることがすぐわかりました。

 

 

 

 

■ すぐにペニスからカテーテルを入れて尿道の閉塞を解除しましたが、ひどい血尿状態でした。

 

 

 

 

 

■ 血液検査では腎数値が軒並み上昇している状態でした。

 

 

 

※ 泌尿器系の尿産生の流れで考えると、腎臓の後、すなわち尿管、膀胱、尿道の原因で腎臓への負荷がかかってしまう『 腎後性尿毒症 』という状況になった訳です。

 

 

■ 入院で静脈点滴を開始したところ、翌日には腎数値は正常値近くまで下がりましたので一安心しましたが、処置が遅れていれば亡くなってしまう可能性もありました。

 

 

 

 

 

 

■ トイレに行く回数が多い、1回の排尿量が極端に少ない場合は、尿道に血餅や炎症産物の塊などで閉塞しているかもしれません。

 

 

★ よくある飼主様の思い込みに、『 フードに“ 下部尿路疾患は対策済み ”と書いてあったから、大丈夫だと思っていた! 』という事があります。

 

 

 

★ 一般フードでは、そこまでキッチリと病気の管理出来るレベルのモノは無いので、過信しないで下さい。 病気の予防対策をしているという一般フードでも、病気になる事もよくあります。

 

 

 

■ いずれにしても、チョッとでもおかしいと思ったら、早めの来院をお勧めいたします。

 

 

 

獣医師 新井澄枝

 

 

 

Page Top