【こんな症例も治りますシリーズ 579】 犬の『 セカンドオピニオン診療で来院された眼瞼炎 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、犬の右眼の眼瞼炎です。

■ アレルギー性の眼瞼炎も、同様の状態になります。

■ しかし、実は検査をしてみると、この子は眼瞼に毛包虫という寄生虫が、通常の皮膚よりも多く寄生することで眼瞼炎が発生していた事が分かった症例です。

■ このように、眼科診断は検査をしてみないと分からないことが沢山あります。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3LpbAmF

 

犬 マルチーズ 1歳 オス(去勢手術済)

 

【 眼をずーっと気にしている 】とのことで来院されました。

 

 

◆◆ 飼い主様からお話を伺ってみると、『 小さいときから、眼を気にしていて、前足で顔をこすったり、床に顔を擦りつけたりしていました。 』

 

■ 『 最近、近隣の動物病院に連れて行ったのですが、特に検査もしないで、眼に異常はないと言われました。 ただ、同じ動作を頻繁に行うので、ちゃんと診てもらいたくて 』とのことでした。

 

 

 

■■ 眼瞼(がんけん)とは、まぶたのことで、まぶたの一部分または全体に、炎症が起こっている状態を眼瞼炎といいます。

 

 

■ 症状としては、眼の周辺が赤く腫れ、激しい痒みや痛みを伴います。

 

 

■ 眼に違和感を覚えるような素振りをみせたり、前足で眼をこすったり、痛みを伴うと涙を流したり、まぶたがけいれんしたりします。

 

 

■ 眼瞼炎の原因はさまざまで、

 

① 細菌や真菌(カビ)あるいは寄生虫感染による皮膚炎。

② 食物・化学物質・虫刺されなどのアレルギー性皮膚炎。

③ 免疫異常(免疫介在性)で起こる皮膚疾患がまぶたでも起こり、炎症になることがあります。

 

 

 

■ 治療は眼瞼炎の原因に沿って行います。

 

 

★ 例えば、細菌、真菌の場合は抗生剤や抗真菌剤、

 

★ 寄生虫では駆虫剤、

 

★ 虫刺されではステロイド剤、

 

★ 免疫異常では免疫抑制剤を使用します。

 

 

 

■ また、眼瞼炎だから目を掻くのではなく、眼の異常から眼を掻いて眼瞼炎が起こっている可能性もあるため、眼検査を行い、角膜や結膜に異常が併発している場合は、点眼薬などでそちらの治療も行います。

 

 

 

◆◆ さて、このワンちゃんの場合、眼検査では、両眼とも流涙や羞明結膜の充血、縮瞳などもみられず、また流涙量測定.(STT試験)も正常でした。

 

 

■ ただ、フルオレセイン染色で左眼の角膜に軽度の傷があることがわかりましたが、おそらく、眼をこすったために、最近、二次的に付けた傷と考えられました。

 

 

 

■ 一方、眼の周りをよく見ると、両方の眼の周りは赤く腫れ、また、眼だけでなく口の周りも赤くなっていることが分かりました。

 

 

 

■ そこで、一応、まぶたの皮膚検査をしたところ、

 

 

 

① 細菌、真菌及び寄生虫の感染の可能性は低いこと

② 問診から、離乳食が終わった時期からおやつをあげる様になったとのこと

 

 

■ これらのことから総合的に判断して『 食物アレルギーによる眼瞼炎 』と診断しました。

 

 

 

◆◆ 治療法としては、おやつは止めてもらい、抗アレルギーのための療法食を、また角膜の傷の対しては抗生剤および角膜保護の点眼薬を処方しました。

 

 

■ 数週間後、来院してもらい検査すると、まぶたと口のまわりの赤みは消えていて、お話を伺ってみると前足や床にこすり付けることも、ほとんどしなくなったとのことでした。

 

 

 

■ 今後は、食物アレルギーの原因を探るため、アレルギー反応試験など行う予定です。

 

 

 

■ 気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

 

獣医師 泉 政明

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