【こんな症例も治りますシリーズ 576】 犬の『 播種性血管内凝固(DIC)を伴う重症子宮蓄膿症 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、摘出した子宮蓄膿症の卵巣と子宮です。

■ 犬の子宮はYの字型をしています。 今回は、腹腔内に膿が漏れていました。

■ 詳細は、本文をお読みになった方が良く分かります。

 

 

犬 チワワ 3歳 メス(未避妊手術)

 

 

【 会陰部より排膿している 】とのことで来院されました。

 

 

 

◆◆ かなりぐったりし、体温も低下しています。

 

 

■ すぐに血液検査、レントゲン検査、エコー検査を行ったところ、白血球が10万台(正常値は1万前後)まで上昇し、レントゲンでは子宮陰影、エコーでは重度に拡張した子宮とともに、腹水がみられました。

 

 

■ 子宮蓄膿症の疑いが強く、また腹腔内で破裂、敗血症をおこしていると推測されました。

 

 

 

■ 血小板も減少しており、播種性血管内凝固(DIC)を起こしている可能性が高いです。

■ DICとは、播種性血管内凝固症候群の略で、感染症や悪性腫瘍などの基礎疾患がある中で、血液凝固活性が生じ、全身の血管内で微小血栓が生じてしまう病態です。

 

■ 至急、院内検査で『Dダイマー』という検査を行い、高値でしたので、DICと確定診断を行いました。

■ 最悪化の防止を行いながら手術の準備に取り掛からなければなりません。

 

 

 

◆◆ 至急、手術が必要です。

 

 

 

■ 一定量点滴を流したあと、開腹してみると、腹腔内は膿でいっぱいでした。

 

 

★ 当院には、手術において迅速な対応ができる高度医療機器やシステムがあるので、今回もそれらをフルに活用して短時間手術を可能にしました。

 

 

 

★ 特に、医療機器の中では『 サンダービート 』というシーリングデバイスが大活躍をします。

 

 

■ 術後、かなり慎重に看護していく必要があります。

 

 

 

■ 手術が夜間手術になってしまったので、輸血治療などによるアグレッシブな医療は、翌朝から行いました。

 

 

 

 

◆◆ 輸血は、健康な血液中には凝固因子や、血小板などが含まれるため、DICの治療としては最善です。

 

 

■ 3日目から食事も食べてくれるようになりました!

 

 

 

■ 今後も注意し、経過観察を続けたいです。

 

 

 

獣医師 増田正樹

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