【こんな症例も治りますシリーズ 555】 犬の『 片玉・停留精巣・潜在精巣・陰睾・腹腔内精巣 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、停留精巣の犬の腹部に精巣(白矢印先端部分)が残っている超音波画像です。

■ よく見ると、楕円形の中心に横棒のラインがあり、精巣の構造をしています。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3u71MUr

 

犬 トイプードル 8カ月 オス(未去勢手術)

 

 

 

【 精巣が片方しかない 】とのことで来院されたワンちゃんです。

 

 

 

◆◆ 今回は、まずレントゲン検査と尿検査をさせて頂きました。

■ 触診してみると、左側の精巣しか腹腔内から陰嚢と言う袋に降りて来ていません。 すなわち、『 右側精巣の陰睾 』という診断になります。

 

 

 

■ 犬の精巣下降は生後約30日齢で完了します。 生後2ヶ月齢になると、それ以上精巣は下降しないと言われており、潜在精巣を疑います。

 

 

 

■ 最終診断は、生後6カ月齢で行います。

 

 

 

■■ 精巣が、腹腔内、もしくは鼠蹊部の皮下組織に留まってしまうと、常に高温条件下にあるため腫瘍化する可能性が高くなってしまいます。

 

 

 

 

◆ 外科的に摘出するために、画像検査を行いました。

 

 

 

■ 超音波検査で腹部を探査してみると、右の精巣が膀胱の頭側の側方で見つかりました。

 

 

 

◆◆ 診断は、腹腔内精巣(陰睾・停留精巣・潜在精巣)です。

 

 

 

■ 後日、手術の予定を組み、外科的に摘出する事としました。

 

 

■ ペニスの横を切開し、開けてみると、画像検査の通り、膀胱の頭側・側方に精巣を見つけました!

 

 

■ 腹腔内精巣の周囲の血管を結紮し、外科的に摘出し、手術終了です。

 

 

■ 超音波検査で事前に見つける事で、切開部分が少なくて済みました。

 

 

■ 今後も注意して見ていきたいと思います。

 

 

※ 腹腔内や皮下組織に留まってしまう『 陰睾の精巣は、腫瘍化する 』と上述しました。

 

 

※ 実は、犬の精巣腫瘍は、未去勢の雄犬では2番目に多い腫瘍と言われています。

※ その上、停留した精巣は、通常の位置の精巣に比べて、1.8倍も発生確率が高くなる腫瘍の種類もあります。

 

 

 

■ 精巣腫瘍は、主に『 セルトリ細胞腫、精上皮腫(セミノーマ)、間質細胞腫 』の3種類ありますが、その中でもセルトリ細胞腫は、骨髄抑制による貧血などを起こすなど、腫瘍の転移などやメス犬化するケースもあるので、要注意です。

 

 

★ 片方の睾丸しかない、あるいは片方の睾丸が大きくなってきた中年以降のオス犬は『 受診をお勧めします 』

 

 

★ 保護犬で、譲渡時に飼主様が既に去勢手術してあると思いこんでいたら、実は正常位置の睾丸だけ去勢手術してあり、中年以降に『 腹腔内精巣 』が大きくなって、骨髄抑制による貧血・白血球減少が起き始めていて、大変だったケースも経験しています。

 

 

 

■ とにかく、気になる事がありましたら、ご連絡をお待ちしております。

 

 

獣医師 増田正樹

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