【こんな症例も治りますシリーズ 553】 猫の『 特殊な膀胱結石 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、猫ちゃんの腹部レントゲンと膀胱結石です。

■ 左のレントゲン写真には、中央やや右手に膀胱があります。

□ 膀胱の中に結石が白く見えます。

■ 右の写真は、二層結石(ストルバイトと酸性尿酸アンモニウム)の膀胱結石です。

□ このような膀胱結石は、手術で摘出しないといけません。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3ikSH89

 

猫 ミックス猫 3歳 オス(去勢手術済)

【 2日前からオシッコにキラキラしたものが出ている 】とのことで来院されたネコちゃんです。

 

◆◆ 今回は、まずレントゲン検査と尿検査をさせて頂きました。

■ レントゲン検査では特別な異常所見は見られませんでしたが、尿検査では顕微鏡で覗くとストラバイト(リン酸マグネシウムアンモニウム)という結石の元になる結晶が見られました。

 

 

■ ストラバイト結晶は、ネコちゃんの尿がアルカリ性になると出きやすくなる結晶で、尿石症の元になる原因の一つです。 今回これが原因で、オシッコが乾いた時にキラキラ輝いて見えたのです。

 

 

■ 尿石症とは、オシッコが腎臓で作られて体外に排泄されるまでの尿路(尿管→膀胱→尿道)に、何らかの原因でミネラル分が溶けきらずに石(結晶)ができて、血尿や頻尿、排尿困難などさまざまな症状を出す病気です。

 

 

 

■ 出来た場所によって、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と呼ばれます。

 

 

 

 

■■■ その中でも尿管結石や尿道結石が原因でオシッコを全く出せなくなると、毒素を体外に排泄できず、ネコちゃんの命に関わる場合があります。

 

 

 

■ 尿石の種類には6種類ありますが、代表的なモノは、ストラバイト結晶の他に『 酸性のオシッコで出来やすいシュウ酸カルシウム結晶など 』があります。

 

 

■ 幸い、ストラバイト結晶は『 尿をアルカリ性から中性にする特別な食事(処方食) 』によって溶かすことができます。

 

 

■■ このネコちゃんの場合、この尿pH中性調整の処方食を2週間食べ続けることでオシッコの中の結晶は無くなりました。

 

 

 

◆◆◆ 一方,『 シュウ酸カルシウム結晶(結石)は、尿を中性に戻しても溶けることはありません。 』

 

 

 

■ 尿管結石、膀胱結石、尿道結石の場合,手術による摘出が必要になる場合が多いです。

 

 

■ 尿石症を予防するには、おやつを控えたり、尿を中性に維持する食事にしてください。 また、新鮮なお水をしっかり与えて、結晶が出来る前に尿によって出すことも大切です。

 

 

■ 尿石症の早期発見には、日々のトイレの様子をよく観察することや、定期的な尿検査が有用です。

 

 

 

★★★ かなりマニアックな話になりますが、円形の構造が二層になっている、すなわち『 結石の芯になっている部分がシュウ酸カルシウムや酸性尿酸アンモニウムで、表面の層がストルバイト 』で出来ている結石があります。

 

 

★★ このような時は、表面成分のストルバイト結晶が顕微鏡では検出できます。 尿pH中性調整の処方食をネコちゃんに食べてもらっても、結石は全て溶けません。 シュウ酸カルシウム結石などは、この処方食では溶けないからです。

 

 

★ 実は、レントゲン検査などの画像をじっくりと診ると、『 二重構造 』が診れる事が多いです。

 

 

★ このように、結石が溶けない時は、手術で摘出する治療と食事管理の再発予防が大切なキーポイントです。

 

 

■■■ 今回のようにオシッコのことで気になることがあれば、お気軽にお尋ねください。

 

 

 

獣医師 天野 雄策

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