【こんな症例も治りますシリーズ 542】 ワンちゃんの『 急性膵炎 や 慢性活動型膵炎 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、
■ お腹が痛くて『お祈りポーズ』をして、痛みを減らしているワンちゃんです。
★ このポーズをしていなくても、膵炎が多いです。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3sN5LoF

 

犬 9歳 オス(去勢手術済み)

 

【 お昼頃から10回くらい吐き続けている 】ということで来院されました。

 

 

◆◆ 来院時の症状は、落ち着いている状態でした。

 

■ そこで、血液検査、レントゲン検査と超音波検査をさせていただきました。

 

■ また、犬膵特異的リパーゼ検査も同時に実施させていただきました。

 

■ その結果、画像診断では典型的な異常像は無かったものの、炎症系の数値が高値であり、犬膵特異的リパーゼが高値で、既往歴も無かった事から『 急性膵炎 』と診断されました。

 

 

 

◆◆◆ 急性膵炎は重症化すると、死に至ることもある怖い病気です。

 

 

■ 症状は様々ですが、「食欲不振」「元気消失」「嘔吐」「下痢」「腹痛」などがあります。

 

 

◆ 膵臓は食べたものを消化するための酵素を分泌したり、インスリンなどのホルモンを産生する重要な臓器です。

 

 

■ 原因はよく解っていませんが、何らかの原因で膵臓の消化酵素が自分の膵臓を溶かし、破壊してしまうことで炎症が起きるとされています。

 

 

■ 重症になると、胃、十二指腸・腸管・肝胆道系に炎症が及び、致死的となります。

 

 

※ 膵炎は、その後に併発する『 播種性(はしゅせい)血管内凝固症候群 』、通称DICが一番起こりやすい内臓病です。

 

※ このDICは、発見が遅くなると、小さな血栓が犬猫の全身の血管に出来て、細い血管を詰まらせる病気です。

 

 

※ その結果、血液凝固が増加することで出血の抑制に必要な血小板と凝固因子を使い果たしてしまい、過度の出血を引き起こします。

 

 

※ DICは、昔は『 全身に出血斑を認めたら注意 』と言われましたが、現代ではプレDIC(DICの前段階)の時期から治療しないと助からない、とされています。

 

 

 

◆◆◆ この病気を治すためには、治療をできるだけ早く開始することが大切です。

 

 

■ 対症療法として、輸液、制吐剤、鎮痛薬などを使いますが、近年効果的な特効薬が開発され、数日間の投薬で劇的に改善されることが判っています。

 

 

 

 

 

 

★ 慢性活動型の膵炎は、この薬を使っても膵炎マーカー値が下がらない、あるいはその数値が下がってもすぐに上昇してしまうパターンが多く、『 治りにくい膵炎 』とされています。

 

 

 

★ しかし、当院では『 特殊な治療薬 』を使う事で、約80%の子が安定化しています。 この治療は当院へ通院する必要があるので、神奈川県と隣県までの方々にお勧めしています。

 

 

 

■■■ 今回のワンちゃんも症状が出始めて、すぐに来院され、特効薬を使用されることで、翌日には元気食欲も出て数日間ですっかり回復されました。

 

 

■ 他にもワンちゃんネコちゃんが吐き続ける原因として、異食や腸閉塞等、いずれも命に関わる病気です。

 

 

■ こんな症状が出始めたら当院まですぐに連れてきてください。

 

 

 

獣医師 天野雄策

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