【こんな症例も治りますシリーズ 516】 パグに頻発するタイプとは違うオデキ も 適切な診断と治療で治します

上の写真は、パグの鼻の横に出来た皮膚組織球腫です。
■ キイチゴ状になるので、特徴的な形をしています。

 

犬 パグ 6歳 メス(避妊手術済み)

 

 

【 鼻の横に小さなイボが出来ていることに気づいた 】ということで受診されました。

 

 

◆◆ 以前からあったものが少しずつ大きくなり、気にして掻いて出血してしまったりするとのことでした。

 

■ 実際に診させていただくと、左鼻の横に1cm弱の円形の皮膚腫瘤が形成されていました。

 

 

■ 中高齢のワンちゃんには皮膚にイボ状のオデキができてしまうことがよくあります。 そのほとんどが良性の腫瘤ですが、中には悪性のものがあり、手遅れになると他の臓器に転移して、手の施しようがない場合もあります。

 

 

 

 

■ 今回の犬種の【パグ】は、【肥満細胞腫】という腫瘍の好発犬種であることから詳細な検査を進めることにしました。

 

 

 

 

■ 【肥満細胞腫】は肥満細胞という細胞が腫瘍となったものです。 肥満細胞はヒスタミンやヘパリンなど、血管に作用する物質を放出し、それらにより血管が拡張して血圧が下がったり、出血や浮腫などが起きたり、腸に潰瘍(かいよう)ができたりすることがあります。

 

 

 

■ 犬に発生する皮膚の腫瘍の中で一番発生率が高い病気で、悪性度の低いものから高いものまでさまざまです。

 

 

 

■ 悪性度の低いものは、できた腫瘍を外科的に切除することで完治することも多いです。 しかし、悪性度の高いものは様々な臓器に転移して完治が難しくなります。

 

 

 

■ 肥満細胞腫は、その見た目もさまざまで、小さいものもあれば大きいものもあり、柔らかいものもあれば硬いものもあります。また、急激に大きくなるものや、ほとんど大きさが変わらないものもあります。

 

 

■ この診断には腫瘤の中に針をさして細胞をとりだし、悪性良性の判断を専門医にお願いすることになります。 組織を採る方法より簡便で、腫瘤の検査では一般的なものです。

 

 

 

 

■ 今回のワンちゃんは検査の結果、『 皮膚組織球腫 』という炎症で、悪性の腫瘍ではありませんでした。

 

※ 皮膚組織球腫は形が『 キイチゴ(木苺)状 』になるのが特徴です。 細胞を調べて、リンパ球が多く出現してきたら、『 消退期 』に入った証拠になります。
この時期になると、自然とシコリが小さくなり、消えていきます。

 

 

 

■ パグ以外にもボクサー、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ブルドッグ等が好発犬種になります。 皮膚のオデキに気付いたら、ご相談ください。

 

 

 

獣医師 天野雄策

Page Top