【こんな症例も治りますシリーズ 514】 パグの露出性角膜炎 も 適切な診断と治療で治します

上の写真は、パグちゃんの目です。
■ よく見ると、眼の表面が黒くなっています。
■ 角膜の変色と、眼球上の血管の存在を特徴とする色素性角膜炎が起きています。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3oGeJSl

 

犬 パグ 7歳 メス(避妊手術済み)

 

【 目の表面にシミができた 】とのことで相談を受けました。

 

◆◆ 眼をまず見てみると、表面に色素が沈着しています。
また、涙やけも起こっていました。

 

 

■ 眼の検査をしてみると、表面に細かい傷がありました。

 

■ お話しを聞いてみると、眼を開けたまま寝ているそうです。

 

 

■ 露出性角膜炎を疑います。

 

 

 

 

 

★ パグやフレンチブルドッグなど、短頭種は眼窩(眼を収める頭蓋骨の穴)が浅く、眼瞼裂が広いため、眼球の露出が多くなります。 その結果、瞬きの際に、角膜の一部が露出されたままになってしまう事があります。

 

 

★ 露出されたままの角膜(時には結膜も)は、色素が沈着されたり、混濁したり、血管が新生したりする症状を呈します。 この症状を露出性角膜炎と呼びます。

 

 

 

★ 瞬きがきちんとできないという事は、眼の表面が乾燥するだけでなく、溜まっている涙が鼻涙管に押し出されなくなるため、あふれて涙やけを起こしてしまうのです。

 

 

 

■ また、瞬きをする事で、眼瞼にあるマイボーム腺という分泌腺から油分が排出するのですが、閉瞼不全があると涙の相に油分が足りなくなってしまい、涙が乾きやすくなってしまう、という事もあります。

 

 

 

■ 治療としては、内眼角形成術という、外科的なアプローチもありますが、内科管理を行う事としました。

 

 

 

 

 

■ ヒアルロン酸を含んだ点眼薬で角膜を保湿します。 また、寝る前には眼軟膏を付けていただく事としました。

 

 

 

■ もう一つ、大切な事はマッサージです。 頭を撫でる要領で、頭頂部から顔に向けて撫でます。そうする事で瞼を閉じさせ、マイボーム腺の分泌を促します。

 

 

 

★ ヒト用ですが、あずきのチカラ(眼の保温)も有効です。 温罨法の一種です。 眼を温める事でマイボーム腺の油分を溶かし、排出を促進します。

★ しかし、嫌がるワンちゃんもいるため、注意が必要です。

 

 

 

以上の治療を行い、経過を診ていくこととなりました。

■ 今後も注意深く経過を見ていきたいと思います。

 

 

 

獣医師 増田正樹

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