【こんな症例も治りますシリーズ 503】 ワンちゃんの濾胞性結膜炎も 適切な診断と治療で治します

上の写真は、ワンちゃんの下マブタをめくった病気の結膜です。
■ よく見て頂くと、泡状の水泡が見えます。
■ これが、濾胞性結膜炎です。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3lQJGlF

 

犬 ラブラドールレトリバー 2歳 メス(避妊手術済み)

 

 

【 右眼の結膜にツブツブした出来物が出来、眼が赤い 】とのことで来院されました。

 

 

◆◆ 観察してみると、右眼の眼瞼結膜から球結膜にかけて、水疱が形成されています。

 

■ 結膜濾胞です。

 

 

 

★★ 目の結膜は、白目の部分の『 球結膜 』と、マブタの裏側の『 眼瞼結膜 』の2種類です。

 

 

★★★ 『 濾胞 』とは、特に内分泌腺の組織で、多数の細胞からなる完全に閉じた袋状で中に分泌物がたまる構造物です。

 

 

 

 

★ 文字で説明すると分かりにくいですね。 例えると、種があるブドウの実を想像して下さい。 種の部分に液体が溜まっている状態、これが『 濾胞 』です。

 

 

 

■ 結膜にはリンパ装置が存在しており、一部は濾胞状に集塊になっています。 結膜の免疫反応が亢進する状態では、濾胞が生じます。

 

 

■ 人間ではアデノウイルスやクラミジアによる感染性の可能性が高いのですが、犬では『 アレルギーや異物による慢性刺激 』によるものが多いです。

 

 

 

◆◆ お話をお聞きしてみると、こちらのワンちゃんは、かなり庭で激しく遊ぶらしく、遊んだ後は特に羞明(しゅうめい:異常にまぶしさを感じる病的な状態)がひどい、との事でした。

 

 

■ 念のため、結膜の表面をスワブ(滅菌綿棒)で擦り、『 細菌の培養検査、ウイルスのPCR検査(病原菌の遺伝子検査) 』を行いましたが、やはりどちらも陰性でした。

 

 

 

 

■ 治療としては、ステロイドの点眼薬、外出後の洗眼、外出前に眼軟膏による眼球の保護を行いました。

 

 

■ 2週間後には、結膜の充血は引き、濾胞は完全になくなっていました !

 

 

 

■ これからしっかり経過を観察し、薬の減薬(量や数を減らすこと)を行なっていきたいと思います。

 

 

 

獣医師 増田正樹

 

 

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