【こんな症例も治りますシリーズ 493】 犬の珍しい残痕歯鼻腔内迷入による鼻出血 も適切な診断と治療で治します

上の写真は、ワンちゃんの上顎の歯科レントゲンです。
★ 右に見えているのが、犬歯です。
★ 左の歯は、奥歯の臼歯です。
■ 〇で囲っている部位には、206番と言う前臼歯の残痕歯(取り残しの歯根)です。
これは、鼻腔内に入っておりました。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3JF6BKV

 

 

犬 ミニチュアダックスフンド 15歳 オス (去勢手術済み)です。

【 昨日から鼻血が出る 】とのことで来院されました。

 

 

◆◆ 犬の鼻出血は、人間のように軽いものではありません。 しっかりと原因を究明していくことが必要です。

 

 

 

■ 『 鼻出血の原因 』としては、血液の凝固異常、外傷、鼻炎、腫瘍、異物が鑑別疾患に入ります。

 

 

■ 血液検査、血液凝固能検査が正常であれば、画像検査に進みます。

 

 

 

■ レントゲン検査は有用ですが、なかなか大人しく頭のレントゲンを撮影させてくれる犬はおらず、できれば鎮静化での撮影が望ましいです。

 

 

 

■■ しかし、鎮静麻酔を使用するのであれば、CT検査の方がより診断能力が高いのです。 造影剤も使用するのであれば、腫瘍があるかどうかも、多くの場合で判断できます。

 

 

■ 今回は飼い主様の希望もあり、麻酔下での頭部CT撮影も行いました。

 

 

■ CTを撮影してみると、なんと上顎の前臼歯歯根の残痕歯が鼻腔内に迷入していました。

 

 

 

★ おそらく、あくまでも推測ですが、過去に以前の動物病院で歯石除去術を行った際に、歯周病の治療として『今回問題を起こしている歯』を抜歯したのだと思いますが、その際に『 歯根の一部が取れずに残痕 』してしまったのだと思います。

 

 

★ 元々歯周病がありましたので、『 残痕歯が、周囲の骨がルーズになっていたため 』に移動しやすくなり、鼻腔に歯が差し込まれてしまったのだと思います。

 

 

 

■ そこで、CT検査に引き続き、麻酔下ですので、そのまま歯科口腔外科を行い『 残痕歯の摘出 』となりました。

 

 

★ 上顎の問題を起こした歯の部位に、メスで切開を入れて、残痕鉗子を差し入れて、鼻腔内の残痕歯を掴みます。

 

 

★ 鉗子を挿入する位置も角度も、CTの画像から判断することが可能でしたので、それほど苦労なく処置は終わりました。

 

 

 

■ その後は鼻出血もなく、元気に過ごしてくれています。

 

 

 

■ CT撮影が、診断と処置に役立った症例でした。

 

 

 

獣医師 増田正樹

 

Page Top