【こんな症例も治りますシリーズ 463】 超小型犬のワンちゃんが前足を骨折した!  も適切な診断と治療で治します

★ 上のイラストは、創外固定の種類です。
★ 色々と変形して調整できるので、失敗が殆どありません。
★ 本当に優れているシステムです。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3EbQvpg

 

犬 チワワ 6歳、オス(去勢手術済み)です。

 

【 抱っこして落としてしまってから、前足をあげている 】とのことで来院されたワンちゃんです。

 

 

◆◆ 触診では、右の前肢で軋轢音がします。

 

幸運なことに、落ちた時に頭からではなく前肢から着地しており、脳障害による意識レベルの異常は見られず、他のカラダの部分にも外傷はありませんでした。

 

 

■ レントゲンを撮影してみると、右前足の橈骨、尺肩の手先に近い部分に骨折が見られます。

骨折部位がかなり、手根関節、つまり前腕と手先の間の関節に近い位置です。

 

 

■ 診断名は、『トイ犬種の前肢橈尺骨遠位端骨折』となります。 難易度が高い手術部位です。

 

 

 

 

■■■ 骨折の外科治療にはいくつか選択肢があります。

 

 

■■ プレート等による整復術

骨折部位と関節にスペースがある場合、骨の太さや体格、折れ方により大きさを選択したプレートで骨折を整復します。内固定と呼ばれる方法です。

 

 

■■ もう一つが創外固定

内固定と対照的な意味で使われており、体外(創外)から骨折を固定します。

 

 

 

■■ どちらの方法も、良い面、悪い面があります。

 

■ 内固定は手術後すぐに歩ける。 見た目も何事もなかったかのように直ぐになりますが、多くの場合でプレートは入れたままになります。

 

■ またプレートそのものが折れてしまったり、逆に強度が丈夫すぎるプレートでガチガチに固めてしまうと骨が細くなってしまったりもします。

 

 

■ 創外固定は、ピンやバーが体外に出ますので、動きは制限され、見た目も痛々しく見えてしまいます。 定期的な消毒も必要です。

 

■ しかし、骨折の治癒と共にピンを抜くことができ、最終的には体内に金属は残りません。
またピンを調節することで、プレート整復術で起こるような副作用を妨げる、といった事もできます。

 

 

★ 今回は、関節からの距離が14mmという短い部分の骨折であったために、プレートを適切に設置する場所も厳しく、創外固定整復術を選択しました。

 

 

★ 手術が終わり、レントゲンでも骨折端がしっかりと合っています。
術後には自分で立つこともでき、しっかり歩行してくれました。

 

■ まだまだ治療は始まったばかりです。
しっかり治していきましょう!

 

 

獣医師 増田正樹

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