【こんな症例も治りますシリーズ 437】 猫の炎症性腸疾患(IBD) も適切な診断と治療で治します

猫の小腸の内視鏡写真です。 左が正常です。
右は、腸粘膜全体が腫れている様子が分かりますか?

 

 

 

参照サイト:

https://bit.ly/36BExWO

 

 

日本猫、6歳、メス(去勢手術済)

 

【 食欲不振と体重減少 】とのことで来院された猫ちゃんです。

 

◆◆ 飼い主様からお話を伺ってみると、2週間くらい前から食欲がなくなり体重が減ってきたこと、また最近、嘔吐や軟便もみられるようになったことから、ホームページをみて当院で一度診てもらうことにした、とのことでした。

 

 

■ さて、血液検査、レントゲン検査を実施したところ、アルブミン数値が下がっていることがわかりました。 アルブミンが下がるのは大きく分けて、①肝臓で作られない、②腎臓から漏れ出る、③腸から漏れ出る、の3パターンです。

 

 

■ 今回の血液検査からは肝機能の低下はみられないこと、また追加の尿検査から尿中にもタンパクはみられないことから、腸の問題である可能性が高いと判断し、続いて超音波検査(エコー)及び内視鏡検査(胃カメラ)を行いました。

 

 

■ その結果、腸の粘膜が全体的に腫れている(浮腫)ことがわかりました。 このため、胃と腸の組織の一部を採取して顕微鏡で確認する病理検査を行なったところ、「炎症性細胞浸潤(好酸球性細胞)を伴う炎症性腸疾患(IBD)」と診断出来ました。

 

 

■ 「IBD」の治療には、一般的に食事療法や炎症の細胞を抑える治療(『ステロイド』を使用する免疫抑制療法)などを行います。

 

 

■ 今回の場合にはこれらの治療に加え、ステロイドの量を減らし(一日置きの投薬)、できるだけ副作用の発現なくすため、当院で良く使われる漢方薬を補薬として併用することにしました。

 

 

■ 治療を開始して2週間後、『 嘔吐や軟便もなくなり元気・食欲も戻ってきた 』と嬉しそうに飼い主様がお話してくれました。 また、血液検査の結果、アルブミンの数値も改善していました。

 

 

■ 気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

獣医師 泉 政明

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