【こんな症例も治りますシリーズ 411】 ワンちゃんの前十字靭帯断裂 も適切な診断と治療で治します

犬のヒザの中の3Dイラストです。 左が正常です。 右は、ピンクの糸状の靭帯が切れています。 もし、分かりにくかったら、参照サイトの動画をご覧ください。 よく分かります。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3uW8Em4

 

イヌ トイプードル 9歳 オス(去勢手術済) です。

【 昨日から右後肢を引きずる 】とのことで来院されたワンちゃんです。

 

■ 身体検査の触診で骨折は認めませんでしたが、上手くお座りが出来ませんでした。 この試験をシットテストといいますが、足先を伸ばした状態で座ったため、膝関節の異常を疑います。

 

■ レントゲンを撮ってみると、膝にファットパッドサイン(膝関節内は本来黒みがかって見えるのが、白く見える状態)、下腿骨が大腿骨に対して前方に移動しています。

★★ 膝よりも下の骨が、通常よりも前の方向に出っ張ってしまう状態を確認致しました。

 

 

■■■ これは、前十字靭帯断裂の所見です。

 

 

※ 前十字靭帯断裂や、前十字靭帯 “部分” 断裂の診断方法は複数ありますが、ここでは割愛します。

 

■ 靭帯とは骨と骨をつなぐバンドです。

そのなかで膝関節内には十字靭帯があり、太ももの骨である大腿骨と、すねの骨である脛骨(けいこつ)を繋ぐ役割を果たしています。

■ ヒザの十字靭帯には、前十字靭帯と後十字靭帯が存在しますが、そのうちの前十字靭帯が切れてしまう事を『前十字靭帯断裂』と言います。

 

※ 部分断裂の場合は、当院の場合【 再生医療 】等の方法を用いて内科的に治療を致します。

※ 完全断裂の場合は、外科手術が適応になります。

 

 

 

■ 前十字靭帯断裂の外科手術の方法は、TPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)など複数ありますが、費用などの関係で、今回は人工靱帯を関節外に通し、失われた靱帯の機能を代替する関節外制動法(FLO法の変法)を行うことにしました。

 

 

■ 手術では、人工靱帯を通した時に下腿骨(脛骨)が元の位置に戻っているかがポイントになりますが、当院では手術中にレントゲン撮影が可能なCアームという医療機器があります。

 

※ 『Cアームレントゲン撮影装置』は、手術中にレントゲン室に移動しないでも、動画の状態でレントゲン画像が確認出来るので、整形外科の解剖学的整復の成功率が抜群に上昇します。

 

 

■ 手術中に撮影をしてみると、骨がぴったり元の位置に戻っています。

 

 

 

■ 上手に整復出来たことを確認できたら、手術創を閉鎖するための縫合を始めます。

 

 

 

 

■ 麻酔から覚めたら絶対安静です。 1週間入院しましたが、とても元気です。 なんと手術の数時間後には患肢を使って立ってくれる様子もみせてくれました。

 

■ 元気に退院してくれましたが、これからは体重の管理やリハビリテーションを行なっていく必要があります。

 

一緒に頑張っていきましょう !

 

 

獣医師 増田正樹

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