【 こんな症例も治りますシリーズ281 】  ウサギの斜頸、食欲不振も 的確な診断と治療でコントロールします。

ウサギが右に首を傾けているイラストです。 病気によって、このようになってしまいました。

参照サイト:

http://u0u0.net/8asw

 

ウサギ 8歳 未避妊

 

 

【 今回は「首が傾いてしまい食欲が全くない」と来院されました。 】

 

■ 実際に診させて頂くと、首が横方向に90°以上傾いており、傾いた方向に体が回転してしまう状態でした。

 

■ ウサギさんでこの様な症状の場合、疑う必要があるのはエンセファリトゾーンという寄生虫が寄生することによって起こるエンセファリトゾーン症(EZ症)です。

 

■ EZ症の症状は、片側の眼の病気(白内障や膿瘍など)や神経症状(頭部傾斜、眼振、ローリングなど)、まれに腎障害などが起こり、特に若齢では眼の病気、高齢で神経症状になることが多いです。

 

■ EZ症は、感染ウサギの尿からや、母ウサギの子宮内にいる時点で感染することが多いため、国内のウサギの70%以上という大多数が感染しているといわれています。 そのため、検査で身体の中にEZがいることが分かっても、それが原因と断定することは出来ない為、生前確定診断は不可能です。

 

⇒ 免疫の話なので、ちょっと難しい話になりますから、これ以上は説明を止めますね。

 

■ そのため、治療をして効果があれば仮診断とする『 診断的治療 』を行う事にしました。 このほかの鑑別診断には細菌性内耳炎なども含まれるため、どちらが原因であっても効果が出るように内服治療をはじめました。

 

■ その結果、2日目で明らかに症状が改善し始め、14日目でほとんど通常通りに生活できるようになりました。 神経症状は早期に治療すれば、完全に良くなることもありますが、約半数には首の傾きなどが残ってしまいます。

 

■ 早期診断・早期治療が大切になりますので、気になることがあれば、早めの来院をお願い致します。

 

 

■■ そんなに感染率が高いと『うちの子は大丈夫かな?』と心配されている方もご安心ください。 ほとんどのウサギは症状が出ないまま一生を終えることが出来ます。

 

■ また、免疫機能が落ちて来た時に発症することが多いため、先手を打って、免疫をあげる【 先制医療 】が大切になります。

 

■ 爪切りやグルーミングに来院された時などにも、この病気についてお気軽にご相談ください。

 

獣医師 冨田浩平

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