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犬 柴犬 10歳 メス(避妊手術済み) です。
【 他院で外耳炎の治療をしていたが、外耳が固くなって治しにくいと言われたワンちゃん 】です。
■ 実際に診察させて頂いたところ、左耳の外耳道が石のように固くなって肥厚しておりました。
■ 柴犬は、アレルギー性病気が多いので、最初の治療は外用のステロイド剤を用いましたが、長期間にわたる外耳炎に対する治療を他院さまで行っても治らなかっただけあって、軽快する事は出来ませんでした。
■ そこで、飼主様に対して、犬の外耳道の構造が【 L字型 】であり、鼓膜の近くまで空気の流れが無いと、慢性的な中耳炎や内耳炎の起こる可能性などを飼主様に説明しました。 また、ワンちゃんにとって、痛痒くて口を開ける時にも痛みが生じる説明もしました。
■ このような時は、本来【 石のような外耳道のレベルに行う外科手術 】ではないのですが、耳の穴が塞がった状態でしたので、鼓膜に近い水平耳道の空気の通りを良くする目的で【 垂直外側耳道切除術 】を行いました。
■ この【 垂直外側耳道切除術 】の利点は、
★ 第一に、【 全耳道切除術 】のように顔面神経の際までメスを入れる必要がなく、顔面神経麻痺になる可能性がほぼゼロとなります。
★ 第二に、この手術を行った結果によって、人間と同じように水平耳道の入口から鼓膜が見えるようになったら、今後の耳の管理が容易になります。
★ 第三に、水平耳道の閉塞が術後治療で治らない際には、【 水平耳道切除術 】の手術が容易に出来る、と言う事です。 簡単に言うと、垂直耳道切除と水平耳道切除の二段階で手術が出来るので、【 一段階目の垂直耳道切除術で成功してしまえば、少ない傷と少ないリスクで治療が可能な方法 】なのです。
★ ただし、水平耳道の入口のところまで外耳道が石のように固く肥厚していたら、この方法ではなく、全耳道切除術でないと手術が成功しません。
■ もし、難治性外耳炎でお悩みの際は、ぜひお尋ね下さい。
■ 最近、マラッセチアに効果的な外耳炎用の薬を見つけました。 遠方から御来院頂いている方に、とっても好評です。
獣医師 冨田浩平