【 こんな症例が治ります シリーズ 191 】 犬の緑膿菌による外耳炎・中耳炎も的確な治療でコントロールします

 

 

 

 

 

参照サイト:

https://goo.gl/1gFVYx

 

 

犬 ボーダー・コリー 10歳 オス です。

 

【 耳をよく振る 】とのことで来院されたワンちゃんです。

 

■ 耳をのぞかせて頂くと、片方の耳から黄緑色の液体(膿)が出てきました。 内部には強い炎症が起こっていて、痛みのため耳を触られるのをとても嫌がりました。

 

■ 耳から出てきた膿を確認すると、大量の菌と炎症細胞が見られ、細菌感染による耳の炎症が起こっているのが確定的になりました。

 

■ また、膿が独特の黄緑がかった色をしていたことから、菌の種類と有効な抗生物質を特定するための細菌培養検査もさせていただいたところ、Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)という菌が感染していることが分かりました。

 

■ 緑膿菌のやっかいな所は、多くの抗生物質に耐性を持つ(抗生物質効かない)【 多剤耐性 】を持っていることにあります。 実際、培養検査の結果わかった有効な抗生物質の種類はかなり限られていました。

 

■ また、もう一点治療を難解にするのが、緑膿菌が形成する【バイオフィルム】です。緑膿菌はバイオフィルムという膜を周囲に形成し、この中にこもって生活します。 そのため、耳の中に抗生物質を投与しても、バイオフィルムに阻まれ、効果がきちんとでないことがあります。

 

■ このため、緑膿菌の治療をするには【 バイオフィルム 】を突破し【 有効な抗生物質 】をしっかり使用することがポイントになります。

 

■ そこで、このバイオフィルムを溶かす効果のある洗浄液と有効な抗生物質、また炎症を抑えるためのステロイドを併用し治療させていただいたところ、少しずつ症状の改善が見られました。

 

■ 緑膿菌は、身体の免疫力が落ちることによってするとも言われているため、免疫が落ちるような基礎疾患が無いかをきちんと調べてあげることも大切です。

 

■ 外耳炎かと思ったら緑膿菌が悪さをしていることがしばしばありますので、お耳の異常がある際は早めに病院にお越しください。

 

獣医師 齋藤隆太

 

 

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