消化器の代表的な症状として、食欲がない、吐いている、便がゆるい、下痢をしているなどがあります。これらの症状は消化器疾患だけでなく他の病気の症状としてもよくみられます。そういった面も踏まえながら診察を行っていきます。
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消化器は、食道・胃・小腸・大腸・膵臓・肝臓・胆嚢など幅広い臓器の総称です。そのため、どの臓器に異常があるのかを検査によって診断しながら治療をすることが必要になります。そのため、多面的に検査できる体制を整えております。
便の形、色、混入物などから消化器症状の原因を推測します。
便は消化器の状態を反映しているため基本的な検査となります。
様々な項目を検査し、栄養状態や肝臓、膵臓などの臓器の状態を調べます。
胃、腸管、腎臓などの各種臓器の位置や大きさなどの確認を行います。その他にも、ガスの状態、異物の有無、腫瘤や腹水の有無なども確認します。造影検査を行う場合もあります。
胃、腸管、肝臓、膵臓、腎臓などの各種臓器の状態や腸管の動きなどを確認します。
内視鏡を使用して、口腔内、食道、胃、十二指腸、結腸、直腸などの状態を見て、病変や異物の有無を確認します。消化管の組織を採材して、検査も出来ます。
異物がある場合は内視鏡で取り除くことも可能です。
当院で実施している消化器科診療での対応例の一部をご紹介します。
胃炎とは胃粘膜の炎症に続発する急性又は慢性の嘔吐症候群を指す。
急性胃炎の一般的な臨床兆候は、食物あるいは胆汁の断続的な嘔吐であるが、体重減少はまれである。
慢性胃炎は発生頻度に個体差があるが、治療に反応せず嘔吐症状が数週間持続している場合を指し、アレルギー性、寄生虫性、細菌性、あるいは逆流性などに分類される。原因が特定できない場合も少なくないため、リンパ球形質細胞性胃炎、好酸球性胃炎、萎縮性胃炎、肥厚性胃炎などと組織学的な分類法を用いることが多い。
犬の急性膵炎の病態生理についてはあまり明らかになっていないが、ヒトの急性膵炎とほぼ同様ではないかと考えられている。さまざまな原因によって膵臓内の酵素前躯体が活性化されることによる膵臓の自己消化と炎症反応である。膵臓に炎症が起こるとフリーラジカルの産生、血管内皮障害による透過性亢進、浮腫、微小血流障害、虚血などが引き起こされ、炎症をさらに悪化させることで膵臓に広範囲の障害が広がると考えられる。重度の急性膵炎の場合には重篤な合併症をともなう全身疾患に発展する。
犬で発生することが多く、猫では少ない。多くの胃内異物は嘔吐によって外に出るか、胃酸で消化されず胃内に留まるか、消化管運動によって胃粘膜障害、胃運動性低下、幽門の通過障害などが起こると、嘔吐などの症状を引き起こすことがある。胃内異物は無症状のことも多いため、嘔吐を呈する動物に胃内異物が見られた場合には、胃内異物が病気の主原因となっているかどうかを注意深く判断する必要がある。
炎症性腸疾患は、胃、小腸および大腸の粘膜や粘膜下織へ炎症性細胞のび漫性湿潤を特徴とする慢性消化器障害を呈する症候群である。診断基準として、①慢性消化器症状を認める、②消化管の組織学検査により粘膜病巣に炎症変化を認める、③慢性腸炎を引き起こす疾患が除外できる、④食物療法、対症療法あるいは抗菌薬療法では症状の改善反応が鈍い、⑤消炎薬や免疫抑制療法により症状の改善反応が明らかである、などが当てはまるかどうかである。症状の発現は全ての年齢で認められる。
門脈体循環シャントとは、門脈系の血管と後大静脈や奇静脈など体循環の血管が短絡した状態を指す。臨床徴候は1歳未満の若年で発現することが多いが、シャント血管のタイプによっては比較的高齢で見つかることもある。臨床症状としては神経系(ふらつき、旋回、発作)、消化器系(嘔吐、流涎)、泌尿器科系(尿結石)の症状が認められることが多く、発育不良もしばしば観察される。
猫の膵炎の病態は不明な点が多いが、基本的にはヒトと同様であり、膵酵素の漏出、活性化から引き起こされる細胞障害・炎症反応が病態生理学に深くかかわっていると考えられる。また猫では腸炎や胆管炎と関連して膵炎が起こることが知られているが、その因果関係は不明である。症状は犬と比べて非典型的で、嘔吐や腹部疼痛、下痢などの症状は明らかでないことも多く、活動性の低下や食欲不振など、非特異的な症状しか認められないことが多い。また肝酵素の上昇や、肝外胆汁うっ滞による黄疸がみられることもある。