【こんな症例も治りますシリーズ 880】『 セカンドオピニオン診療 : ワンちゃんの歯周病(歯が抜けてしまった) 』も適切な診断と治療でコントロールします

↑ 上の写真は、今回のワンちゃんなのですが、一番奥歯が抜けたのでハッキリと見れないアングルでスミマセン。
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■ 左が黒色の歯石が付いている『歯石除去前』です。
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■ 右が『歯周病治療と歯石除去』をした後です。

 

犬 ダックスフンド 7歳

 

 

【 歯が抜けてしまったので、口の中をしっかり診てほしい 】とのことで来院されたワンちゃんです。

 

 

■■ 以前、他の動物病院で診察を受けた際には、『 歯が根元から抜けているので、特に問題ないでしょう 』と説明を受けたそうです。

 

 

■ しかし飼い主様は、ほかの歯も含めて、お口の中の状態が気になっていました。

 

 

■■ 実際に診察してみると、歯ぐき(歯肉)に軽い赤みがあり、歯の表面には歯石がしっかり付いている状態でした。

 

 

■ これらの所見から、歯周病が疑われました。

 

 

■■ しかし実は、歯周病は見た目だけでは、重症度(どのくらい進んでいるか)を正確に判断することができません。

 

 

 

 

◆◆ そもそも「歯周病」ってどんな病気?

 

 

■ 歯周病とは、歯のまわりにある歯ぐき(歯肉)や、歯を支えている骨などに炎症が起こる病気です。

 

 

■ 歯の表面に付いた歯垢(プラーク = 細菌のかたまり)の中の細菌が原因となり、炎症が進んでいきます。

 

 

■ 初期には、歯ぐきが赤くなったり、出血しやすくなったりする「歯肉炎」が起こります。

 

 

■ さらに進むと、歯を支える組織や骨がこわされる「歯周炎」へと進行します。

 

 

■ 歯周病が進むと、次のような症状がみられることがあります。

・ 歯ぐきが赤く腫れる

・ 口臭が強くなる

・ 歯を支える骨が溶けてしまう

・ 歯がグラグラする

・ 最終的に歯が抜けてしまう

 

 

 

■■ ここで大切なのは、歯石の量や歯ぐきの見た目だけでは、歯周病がどこまで進んでいるのか分からないということです。

 

 

■ 一見きれいに見える歯でも、歯ぐきの下で歯周病が進んでいることがあります。

 

 

 

 

◆◆ 歯周病はどうやって調べる?

 

 

■ 歯周病の重症度を調べるには、歯の表面を見るだけでなく、歯ぐきの下や、歯を支える骨の状態まで確認する必要があります。

 

 

■ 具体的には、次のようなことを詳しく調べます。

・ 歯周ポケットの深さの測定 : 歯と歯ぐきの間にある溝が、どのくらい深くなっているか

・ 歯の動揺(グラつき)の確認 : 歯がグラグラしていないか

・ 歯ぐきの状態の確認 : 炎症や出血、歯ぐきが下がっていないか

・ 画像検査 : 歯科レントゲンやCT検査で、歯のまわりの骨が溶けていないか

 

 

 

■■ 特に、歯を支える骨がどのくらい残っているかは、歯を残せるかどうかを判断するうえで、とても重要な情報になります。

 

 

 

 

◆◆ 歯周病の検査には麻酔が必要?

 

 

 

■ 『歯の検査や歯石取りだけなら、麻酔をかけずにできないの?』と思われる飼い主様もいらっしゃるかもしれません。

 

 

■■ しかし、ワンちゃんの歯周病を正確に調べるためには、基本的に全身麻酔が必要になります。

 

 

■ なぜなら、お口の奥までしっかり観察し、歯周ポケットの深さを測ったり、歯ぐきの下に隠れている歯石を取り除いたりする必要があるからです。

 

 

■ 麻酔をかけずに無理に処置をしようとすると、次のような問題があります。

・ ワンちゃんが怖がってしまう

・ 動いてしまい、お口の中を傷つける危険がある

・ 歯周ポケットの深さを正確に測れない

・ 歯ぐきの下にある歯石を十分に取り除けない

 

 

■■ そのため、無麻酔での歯石除去は、見た目がきれいになっても、歯周病の適切な検査・治療にはならず、基本的にはおすすめされていません。

 

 

■ 安全に、そして正確にお口の中を調べるためにも、全身麻酔での検査と処置が大切です。

 

 

 

 

◆◆ 今回はCT検査と歯石除去を行いました !

 

 

■ 今回は飼い主様と相談し、全身麻酔で、お口の中の詳しい検査と歯科処置を行うことになりました。

 

 

■■ 当院にはCT装置があるため、今回はCT検査も行いました。

 

 

■ CT検査では、歯のまわりの骨の状態や、歯周病で骨が溶けている部分がないかなどを、立体的な画像で詳しく確認できます。

 

 

■ また、歯周ポケットの深さや歯の動揺(グラつき)なども確認し、お口の中の状態を評価しました。

 

 

 

■■ その後、歯の表面に付いている歯石を取り除き、さらに歯周ポケットの中の汚れもしっかり掃除しました。

 

 

■ 実は、歯周病の治療では、目に見える歯石を取ることだけが目的ではありません。

 

 

■■ 歯ぐきの下に隠れている歯垢や歯石を取り除き、炎症の原因を減らすことが、とても大切なのです。

 

 

 

◆◆ 歯がきれいになったら、それで終わり?

 

 

 

■ 歯科処置で歯がきれいになると、ひと安心される飼い主様も多いと思います。

 

 

■■ しかし、歯周病の治療は、歯石を取って終わりではありません。

 

 

■ 実は、ここからのお家でのケアがとても重要になります。

 

 

■ 歯石を取っても、歯垢はまた付いてしまいます。

 

 

 

■■ そのため、せっかくきれいになった歯を保つためには、毎日の歯みがきが大切です。

 

 

■ 理想は、毎日歯ブラシを使って歯みがきをすることです。

 

 

■ 最初からすべての歯をみがこうとせず、まずはお口を触る練習から始めて、少しずつ歯みがきに慣れてもらいましょう。

 

 

■ また、お家でどれだけ頑張って歯みがきをしていても、歯ぐきの下の状態まで確認したり、歯周ポケットの中を十分に掃除したりすることはできません。

 

 

 

 

■■ そのため、定期的な診察に加えて、必要に応じて全身麻酔での詳しい歯科検査やクリーニングを行うことが理想的です。

 

 

■ 適切な間隔は、歯周病の進み具合やお口の状態によって異なります。

 

 

■ 状態が安定しているワンちゃんでも、1~2年に1回くらいを目安に、麻酔での歯科処置を検討することがあります。

 

 

■ 歯周病が進んでいる場合には、さらに短い間隔での管理が必要になることもあります。

 

 

 

 

◆◆ 今回の症例から

 

 

■ ワンちゃんの歯が抜けてしまった場合、抜けた歯だけでなく、ほかの歯や歯ぐきの状態も確認することが大切です。

 

 

■ また、歯周病は見た目だけでは重症度が分からず、歯ぐきの下で病気が進んでいることもあります。

 

 

 

■■ 今回のように、全身麻酔で歯周ポケットの測定や画像検査を行い、お口の中の状態を詳しく調べることが重要です。

 

 

■■ そして、歯科処置で歯をきれいにした後は、毎日の歯みがきと定期的な歯科検診で、きれいな状態を保っていくことが何より大切です。

 

 

■ 次のような変化に気づいたら、ぜひ一度ご相談ください。

 

 

・ 『 最近、口臭が強くなってきた 』

・ 『 歯石がたくさん付いている 』

・ 『 歯ぐきが赤くなっている 』

・ 『 歯がグラグラする、抜けてしまった 』

 

 

 

■■ ワンちゃんがこれからも自分の歯でおいしくご飯を食べられるように、日頃からのお口のケアを大切にしていきましょう !

 

 

 

 

獣医師 土屋優希哉

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