【こんな症例も治りますシリーズ 408】 ワンちゃんの乳腺がん も適切な診断と治療で治します

乳腺がんの肺転移像画像検査の正確度比較です。
左は、犬の肺野と心臓のレントゲン画像です。
右は、犬の同じ子の肺野と心臓のCT画像です。
破線の矢印の先に見える大きなシコリは、左右両方で診れます。
★ しかし、白い矢印の先に見える小さなシコリは、CT検査(右)でしか診れません。
白の矢印のシコリの大きさは、『5mm以下』でした。
CT検査レベルでの『転移検査(メタチェック)』は本当に重要です。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3w7enXC

 

イヌ 13歳 メス(避妊未実施) です。

 

【 おっぱいにシコリが出来て急に大きくなった 】とのことで来院されたワンちゃんです。

 

 

■ そこで、まず触診、レントゲン検査と血液検査をさせて頂きました。 触診とレントゲン検査で、乳腺腫瘍と暫定診断しました。

 

■ ここで気を付けないといけないのは、オッパイにシコリがあると言っても、乳腺腫瘍以外に沢山の『 シコリ(腫瘤)の種類がある 』と言う事です。 触診とレントゲンだけでは、悪性の乳腺がんとは言い切れません。

 

★ 例えば、疑うべき類似のシコリは、肥満細胞腫、軟部組織肉腫、表皮嚢胞などの他の皮膚腫瘤です。 また、乳腺炎や乳腺過形成なども鑑別診断リストに加えなくてはなりません。

 

 

★ そこで、細胞分裂の盛んな生殖系の細胞を検査する事で、悪性良性を評価する事に対して、賛否両論はあると思いますが、当院では【 シコリの部位の細胞を顕微鏡で検査する細胞診検査 】を念のために行います。

 

 

■ このワンちゃんは、細胞診検査によって『 悪性の乳腺腫瘍を疑う 』と言う結果が出ましたので、次のステップの積極的治療へと進みました。

 

 

◆◆◆ メスのワンちゃんの乳腺腫瘍は、全ての腫瘍の約50%を占めます。 さらに乳腺腫瘍のうち、良性と悪性はほぼ50%ずつで、悪性の乳腺腫瘍のうちさらに50%は、転移の可能性が非常に高いとされています。

 

◆ 言い換えれば、75%は完全切除手術により完治することが出来ます。

 

◆ 悪性腫瘍は大きくなればなるほど完全切除は困難となったり、転移の危険性も高くなるので、発見したら早めに摘出手術をすることが大切です。

 

 

※ また、乳腺の悪性腫瘍の転移についてですが、肺転移がレントゲンでは見つかりやすいとされています。

しかし、レントゲンでは、直径5mm以上のシコリにならないと発見する事が出来ません。

 

 

※ CT検査ですと、直径1mm以上のシコリを発見する事が出来ます。 当院では、院内でのCT検査を第一優先に選択して、的確な診断の元に治療計画を立てます。

 

 

※ 既に、全身へ転移が始まっているワンちゃんに、積極的な手術を行う事は医の倫理から言って間違っているとされていますから、CT検査での手術前の転移確認は大変に重要です。

 

 

■■■ このワンちゃんについては、手術前に当院が所有するCT検査を実施して、転移腫瘍像が無いかの確認と腫瘤の位置と大きさを的確に診断し、段階を踏んだ手術により左右の乳腺腫瘍を全て切除して、卵巣子宮全摘出術も行いました。

 

◆ また病理組織検査の結果から、全ての腫瘍が摘出出来たことが確認され、転移も無かったことから現在も元気に暮らしています。

 

◆◆ 乳腺悪性腫瘍は抗癌剤の効きにくい腫瘍の1つです。 ですから早期発見・早期切除が第一です。

 

 

◆◆ 発症率は、初回発情前の避妊手術で0.05%、2回目の発情前の避妊手術で8 %、2回目発情以後の避妊手術では26%と報告されています。 避妊手術により予防可能な病気なのです。 できれば初回発情前の避妊手術を考えてみてください。

 

■ 何かご不明な点がございましたらお気軽にご相談ください。

 

 

獣医師 天野雄策

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