【 こんな症例が治ります シリーズ 250 】 水晶体起因性ブドウ膜炎も的確な治療でコントロールします

↓↓↓ 眼球の断面図です。中の白い部分が水晶体です。

 

 

 

参照サイト:

http://urx3.nu/MIRB

 

 

犬 15歳 オス

 

【 左眼が赤くショボショボしている 】とのことで来院されたワンちゃんです。

 

■ 眼の様子を見させて頂くと、水晶体の表面に血液が付着していました。

 

■ 眼の検査を複数行ったところ、眼の赤みの原因は【ブドウ膜炎】という眼内の炎症が原因のようです。 そして、目の中の炎症が起こった大本(おおもと)の原因は、白内障にあるようでした。

 

■ 白内障とは、眼の中の【水晶体が白く濁る病気】のことです。 高齢のワンちゃんに発生が多く認められます。 白内障は進行すると、水晶体の濁りにより眼の中に光が入らなくなるため、視力が徐々に落ち、最終的に失明します。 根本的な治療には、水晶体に対する手術が必要です。

 

■■ 白内障は、それ単独では視力を失うのみなのですが、それに伴う合併症にも注意しなければなりません。

 

■ 重度の白内障になると、水晶体の一部が破れ、眼の中に漏れ出てしまうことがあります。これを【過熟白内障】といいます。 この時、眼の中に強い炎症が起き、これを【水晶体起因性ブドウ膜炎】と言います。 このような状態では、通常は手術により炎症の原因となる水晶体を取り除く必要があります。 ところが、この子は他にもいくつか病気(持病)を抱えており、手術を選択することが困難でした。

 

■ そこで、点眼と内服薬を用いることで、内科的にコントロールすることにトライしました。 炎症を抑える点眼と、眼の角膜を保護する点眼等を併用することで、数週間で徐々に眼のしょぼつきが落ち着き、出血も改善していきました。

 

■ このように、水晶体起因性ブドウ膜炎も内科的にコントロールできる事もあります。 ですが、中にはブドウ膜炎から【緑内障】といった、他の病気に進行していってしまうケースもあるので、慎重に経過を見ていく必要があります。

 

■ 【眼が白くなってきた】、【眼が赤い】といった眼の症状が見られたら、お早めにご相談ください。

 

獣医師 齋藤隆太

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