【 こんな症例が治ります シリーズ 236 】 ネコの膵炎も的確な治療でコントロールします。

茶色が胃です。 黄緑色は胆嚢と胆管です。 肌色が膵臓です。 ウニみたいに柔らかい臓器です。 猫の場合、胆管と膵管がY字型になってから十二指腸に流出路を形成しています。

 

参照サイト:

https://goo.gl/aMBehW

 

 

ミックス猫 14歳 オス 去勢済み

 

■ 今回は【 連続して起こる嘔吐 】を主訴に来院された猫ちゃんです。

 

 

■ 水を飲んでも吐くという【 強い吐き気と食欲廃絶(食欲が全くない事) 】で来院された猫ちゃんです。

 

■ ここ数日はたくさん水を飲んで、それを吐くという事が続いており、1年前と比べると2kg以上体重の減少が見られました。

 

その他にも猫では珍しい心雑音(と言っても最近は心雑音のネコ症例が増えています)や、重度の腹部膨満が見られたため、【 様々な疾患が複合的 】に起こっている可能性が考えられました。

 

■ そこで、【 見落としなく検査 】を行うため、入院治療をしながら、血液検査、レントゲン、エコー検査など全身精査を行うことになりました。

 

■ まず、今回のメインの症状である嘔吐、食欲廃絶は、【 膵炎や腸閉塞など生命に関わる 】病気が多いため注意が必要です。 特に、春は抜け毛が多いので毛玉による腸閉塞(不完全閉塞も含む)の可能性が高くなるため、注意深く検査を進めました。

 

■ その結果、信頼性の高い膵炎の血液検査、レントゲン、エコー検査などで膵炎を強く疑い治療を開始いたしました。

 

■ 膵炎治療は点滴で血液の循環を良くし、消化管をしっかり動かすことが大切ですが、この子は心雑音がある為、心臓に負担となる点滴の量を調節しつつ、心臓のお薬を追加して対応する事にしました。 この様に、最初の検査で広くしっかりとした検査をしておくことで、その子に合った体に負担のかからない治療法を選択することが出来ます。

 

■ そこからは徐々に体調が良くなっていき、特に【 当院の強みであるホモトキシコロジー 】を始めた後は体調不良を起こす以前よりも食欲が出るようになりました。

 

■ 猫の膵炎は週に数回吐く、なんとなく食欲が無い、など症状が緩やかなことも多いです。 しかし、膵炎をそのままにしておくと、膵臓の機能が低下しインスリンが不足することで、糖尿病になってしまうこともあります。

 

■ 今回は糖尿病の発生もなく、他の潜在的な疾患も上手くコントロールできているため、一安心です(*^_^*)。

 

■ そういった、慢性膵炎や腎臓病、心臓病など隠れた病気を早期発見・早期治療するために年2回以上の健康診断をお勧めいたします。

 

獣医師 冨田 浩平

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